今が一番
なんとか遅刻せずに済んだ。
「危なかったね、純平くん」
ほんとに危なかったな。
「もう少し余裕を持たないとな」
「そうだね、そうしないと通学路でイチャイチャできないもんね」
「あ、葵さん、それイチャイチャやない、公開処刑や」
「なんで火垂る○墓みたいに言ったの?」
「マイブームですから」
「えー、何そのマイブームかわいい♡」
なでなで。
頭をなでなでされると気持ちいいな〜。
はっ!これがダメ男製造ってやつか!
でも、まあいいや。
「最近は純平くんも素直になってきたね」
「葵にはかなわないな」
今日も今日とて、二人の世界に入り込んでしまっていた。
「お二人さん、今日も仲良しを見せつけてくれるね」
勇気がスマートフォンで何かを見ながらこちらに来た。
「おはよう勇気」
「おう、純平は今日もいちゃついてんな」
「まてまて、いちゃついてないぞラブラブしてるだけだ」
「余計にタチが悪いな」
でも、勇気は別に責めてきたりしてるわけでない。
「勇気くん、何見てるの?」
葵は勇気がスマートフォンで見ているものが気になったようだ。
確かにチラチラとアニメのようなものを見ている。
「あぁ、これか?最近始まったアニメだよ」
「へぇ〜、そうなんだ。勇気くん良かったらなんてアニメか教えてくれない?」
「これ?これは【そして僕は旅をすることになる】だよ」
あれか、確かそんなアニメもあったな。
何だっけ、記憶が無い主人公が美女と異世界を旅をする内容だった気が。
「勇気くんも、見てるんだ〜。私も毎週録画してるよ、でもまだ見てないんだよね。早く消化しないとね」
あれ、わからないの俺だけ?
「やっぱり、サリナちゃんが可愛いよね〜」
「葵ちゃんはサリナ推しか、俺はユキが好きかな」
完全に置いてけぼりの俺である。
「にしても、最近お前らが勝手に二人の世界に入るから、寂しいもんだぜ」
「俺達そんなに二人の世界に入ってたか?」
俺はあまりそんな自覚無かったんだけどな。
「そんなにって、お前さ…」
「私達は、そんなに世界に入り込んでないよ?」
「なんと、葵ちゃんまで言いますか…」
勇気は完全にショックを受けていた。
「まあ、二人が仲良くしてんなら、俺はかまわないんだけどな」
なんだかんだで優しい勇気であった。
いつもの学校、いつもの授業、いつも同じ事の繰り返しでは退屈してくるものだ。
「なんか面白いことないかな〜」
とあるバンドが、時代は良くも悪くもなってないいつだって今が一番、みたいな事を言ってたな。
今が一番なのはわかるけど、やっぱり暇で仕方ない。
そうだ、学校帰りに新しく出来たショッピングモールに行ってみよう。
たしか、オープンしてからまだ一週間ぐらいしかたってないけど、一度は行っておかないと。
そうなると、また葵とデートになるけど良いよね。
キーンコーンカーンコーン
よし、授業が終わったし葵に相談だ。
「葵、今日の帰りに新しく出来たショッピングモール行かないか?」
「あ〜、あの新しく出来たところね。もちろん良いよ、私も新しい水着とか下着も欲しいしね」
「じゃあ、今日の帰りにさっそく行こうか」
「水着と下着は純平くんに選んで欲しいな♡」
「水着は良いけど、下着もなの?」
「だって、純平くんの好みを知りたいから」
いつの間にか勇気が横に立っていた。
「純平、お前ってやつはー!」
いきなり勇気に首を絞められた。
「まて、落ち着け勇気。死ぬ、死ねるから」
「お前なんて死んでしまえー」
何でそんなに俺は恨まれてるんだよ。
「お前、葵ちゃんの下着姿を見れるとかー!」
結局そこかよ、この性欲の塊め。
「勇気くん、ストップ。それ以上やったら、純平くんが倒れちゃう」
「えー、葵ちゃんが言うなら仕方ない」
何でお前は葵には素直なんだよ。
「ほら、純平くん大丈夫?」
と言いながら頭をなでなでしてくれた。
それを見た勇気が、頭を机に自らぶつけて現実逃避を始めた。
まったく、いつもこんな感じなんだよな。今が一番か、確かに今が一番楽しいな。
「じゃあ、授業終わったら行こうね純平くん」
「今日もデートだな」
「もう、純平くんってば♡」
「なんだよお前らぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「くっそー、俺だって幸せな青春をうぅぅ」
あまりにも辛かったのか、男が半泣きだぞ。
「大丈夫だって勇気、お前にもそのうち大切な人が現れるさ」
「ほんとか?」
「俺と葵は現れるのが勇気よりも少し早かっただけだよ」
「ほんとにそう思うか?」
何で勇気は、そんなにもマイナス思考なんだ?
「年齢=彼女いない歴の俺だぞ?」
なるほど、だからマイナス思考だったのか。
「大丈夫だよ勇気くん、私達が少し早かっただけだよ。勇気にも運命の人はいるはずだよ」
「葵ちゃん…」
「ほら、画面の中とかにね」
「ウワァァァン、三次元なんて大嫌いだぁぁぁ!」
なんとここで葵の天然炸裂か、これは精神的にくるな。
「そんな事より、そろそろ授業始まるぞ」
前を見ると先生が教壇に立っていた。
「ほんとだ、勇気くんそんなに落ち込まないでね」
落ち込ませた本人が言うか、葵ちょくちょく怖いところがあるな。
「ほら勇気、席に戻った方がいいぞ」
「そうだな、戻るよ二次元に」
あれ〜?なんだかそうとう落ち込んでるな。これは後でちゃんと慰めてやらないとな。
皆さまこんにちは、まっさんです。
今回もモブ俺を書かせていただきましたが、現実に葵ちゃんが居れば良いのになと何度も思いました。
純粋で、相手を思い続けてくれて、エロくて、エロくて、エロくてってあれ?
てか作者なんだから調整出来るだろとか思うのは禁止ですよ。
私はただ彼女が欲しいだけです(´・ω・`)
そして今回の内容ですが内容ですが
「時代は良くも悪くもなってない、いつだって今が一番」とありますが、あれは私の一番好きなバンドの言葉です。
わかる人がいれば嬉しいですね。
まっさん時代遅れとか言われそうですが…
それではモブ俺最新話、今が一番をお楽しみください。