二人の時間
今日は目覚めが良かった。
葵に告白をした次の日、いつもなら憂鬱な一週間の始まりの月曜日だが、今日はとても気分が良かった。
いつも二人で一緒に登校してたが、今日からは一緒に登校する意味が変わってくる。
男子と女子、彼氏と彼女。
目覚めは良かったが、ドキドキして眠れなかったのも少しある。
桃華よりも早く起きたので、せっかくだし、桃華に紅茶でも入れておいてあげよう。
そう思って、リビングに向かった。
階段を降りていくが、とにかく寒い。
俺が起きたら、いつも桃華がリビングを暖めてくれているので、普段がここまで寒いとは知らなかった。
リビングの暖房を付けて、お湯を沸かし、紅茶を入れていると、桃華が起きてきた。
「おはよー、お兄ちゃん早いね」
「おう、おはよー。今日は早く目が覚めてな」
「そうなんだ、ドキドキして寝れなかったの?」
なんで女子とは男子の気持ちが分かるのか。
「い、いや、ただ目が覚めただけだ」
「ほんとかな〜?」
女のこの察知する能力って怖い。
「桃華に紅茶入れておいてあげたぞ、それ飲んでちょっとゆっくりしてろよ」
「あっ、そうなんだ。ありがとうね」
桃華に紅茶を出して、目玉焼きとトーストを作って、皿に盛り付けていく。
紅茶を入れるだけだったが、気分が乗ってきて、朝ごはんを作ることにした。
「めずらしいね。お兄ちゃんが朝ごはん作ってくれるなんて」
俺がご飯を作るなんて、久しぶりすぎる。
たまには桃華に楽して欲しいと思ったのだが、やっぱり俺がするなんて、めずらしいのだろうか。
「まあ、俺だって少しぐらい桃華のために頑張ることだってあるんだよ」
「そっか、ありがとうねお兄ちゃん」
やっぱり、お兄ちゃんは葵さんと付き合って浮かれてるんだね。
私はお兄ちゃんが幸せだと嬉しいから、それでいいんだ。
私は、まだ心の奥で諦めれていないのだと実感した。
まだどこかで、お兄ちゃんが私を好きになってくれると信じている。
「久しぶりのお兄ちゃんのご飯だ。美味しいよ」
「そうか、それは良かった」
まだ、諦めなくても良いよね。もう少しだけ、お兄ちゃん出来の悪い妹でごめんね。
「そうだ、今日は俺少し帰りが遅くなるから」
葵と学校に行く待ち合わせをしているので、少し早めに家を出ようとして、思い出した。
「そうなんだ。何か用事でもあるの?」
「ちょっとな、勉強会みたいなのがあるから、参加してくるよ」
「わかったよ。じゃあ、お兄ちゃんが疲れを取れるように、ご飯用意して待っとくね」
「ありがとうな、それじゃ行ってくるよ」
「行ってらっしゃい」
「おはよー純平くん」
「おはよ、葵早くね?」
待ち合わせの十分前についたのに、もう葵は来ていた。
「そんな事ないよ。私も今来たところだから」
「なんか、今のやりとり恋人っぽくね?」
こんなシチュエーション、俺が経験する事は無いと思っていた。
しかし、どうなるか分からないものだ。まさか、俺がこんな経験をするなんて。
いつまでも平穏を求めていたら、こんな経験出来なかっただろうな。
平穏は悪い事ではない。
しかし、全く起伏の無い人生、平坦な道、感情の変化のない人生、そんな人生に意味なんてない。
喜んで、落ち込んで、嬉しいことだけではない。
楽しい事だけを掴もうとするから、上手く行かない。
それなら、俺は嬉しいこと、悲しいこと全てを受け入れて、後悔しながら喜びをつかむために。
その事を教えてもらった。葵には感謝してもしきれないな。
「純平くん?」
「えっ、どうした?」
「どうした?じゃないよ。ぼーっとして大丈夫?」
どうやら、考え込んでしまっていたみたいだ。
「いやー、葵は今日も可愛いなって」
「なっ!?何言ってるの?そ、そんな事ないよ」
「マジ天使!」
「どうしちゃったの純平くん、いきなりそんな事言われても///」
「さあ、学校に行こうぜ。今日もめんどくさいけど、頑張るか」
「そうだね、早く行かないと遅刻しちゃうよ」
いつもと変わらない登校場面。いつもと変わらない教室。いつもと変わらない授業風景。
いつもと変わらない全て、変わったものは、俺の隣に最愛の彼女がいること。
彼女のおかげで、全てが変わった。
まるで世界に色が塗られたようだ。
「純平くん、何ぼーっとしてるの?」
「えっ、ああ悪い」
「お昼だよ、ご飯食べよ?」
「そうだな」
と言うと、葵は俺の席にやって来た。
狭い椅子に二人で座っているのだが、恥ずかしいし食べにくい。
「あの、葵?」
「どうしたの?」
「狭いし、食べにくく無い?」
「そんな事ないよ」
あっ、これ何言ってもダメなやつだ。
「ねえ、あの二人ラブラブだね」
「そうだよね。絶対に付き合ってるよね」
クラスの視線が痛い。
目立ちまくっていて、とても恥ずかしいのだが、 葵はそんな事お構い無しに寄ってくる。
「はい、純平くん、あ〜ん♡」
これはやらなきゃいけないのか?めちゃくちゃ恥ずかしいのだが。
「ほら、純平くんあ〜ん♡」
「葵、恥ずかしいんだけど」
「気にしちゃダメだよ」
まじかよ。恥ずかしいが、ここは彼氏として頑張るか。
「あ〜ん」
「どう純平くん?美味しい?」
「ああ、凄く美味しいよ」
「やった。早起きして頑張ったんだから、いっぱい食べてね」
「でも、そんな事したら葵のお弁当が無くなるじゃん」
葵は自分のお弁当から、俺に食べさしてくれる。
「そうだね。どうしよ〜」
「じゃあ、俺の弁当を食べろよ。俺が作ったわけじゃないけど、美味しいと思うぜ」
「いいの?ありがと、純平くん大好き」
二人で弁当を食べ終わった時、周りの目が凄いことになっていたが、それは見なかったことにしておこう。
皆さんお久しぶりです。まっさんです。
さて、少し投稿が遅れてしまいました。申し訳ありません。
ちなみに、サボってたわけではありませんよ。
ちゃんと書いていたのですが、あまりにもアイデアが出てこない(´・ω・`)
ここで、才能枯渇したのかと思いました。
小説に悩んだ時、皆様は何をしていますか?
私は思い出の場所を巡ることにしております。
引越しして、少し遠いのですが、幸いにも自転車で行ける距離にありますので、自転車で思い出の地を巡っております。
公園や、駄菓子屋とかもあり、けっこう恵まれた少年期を過ごしたので、そこを巡ることで色々思い出して小説のイメージが浮かんできます。
それでもダメな時は近くの山に登って、景色を見ながら書いています。
そして、景色を見ながら書いている現在二月七日の昼頃です。
後は編集して投稿するだけです。
そして、皆様に感謝の言葉を。
いつもお読みいただき、ありがとうございます。
評価、感想、ブックマークが私の書く気力となっております。
本当にありがとうございます。
それでは、今回もお楽しみください。




