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遅刻して一緒に登校とかルート入ってんじゃないすか?

 そんなわけで、遅刻が確定したので俺たちはゆっくりと歩いて登校することにした。

「まさか、ほんとに来るなんて。」

 半分ため息混じりの言葉を吐いた。なぜこんなことに、クラスのやつが見たら羨ましがるだろうなとか思いつつ、二人で歩いていると。

「ねえ、ほんとに覚えてないの私のこと?」

 そう聞かれて少しだけ思い出した気がする。もやもやが消えないが、今なら少しだけ思い出せる。


 その思い出が少し、よみがえった。

「わたしね、大きくなったら純平くんとけっこんするー!」

「おう、俺も大きくなったら葵ちゃんをお嫁さんにする!」

「ぜったいにぜったいだよ。純平くん。」

「おう、ぜったいだ。」

 その後はまだ思い出せないが、確かに約束していた。その【葵ちゃん】がこの思いでと同じなのかはわからないが、たぶん同じだと思う。


「あっ、その顔思い出してくれた?」

「なんとなくだが、思い出してきた。でもそれがほんとにお前なのかはわからない。」

「失礼な、確実に私だよ。」

「そうか、でもな俺はモブでいたいんだ。よくあるエ○ゲーとかのさ、主人公の何故かもてないイケメンの親友でいたいんだ。」

「いま、自分をイケメンて言った気がするけどそれはおいといて、なんで主人公が嫌なのか私にはわからないよ。いいじゃん主人公でも。」

「わかってないな八重桜。モブだから気負わず生きられるんじゃないか。主人公は多数のヒロインから好意をよせられて、それに1人に絞る。そんな胃が痛くなることしたくないんだよ。」

「ごめんね、何が言いたいのかわかんないや」

「お前もそのうちわかるときがくる」

「来ない気がするけど、でもね純平くんがモブなら、モブのヒロインは私だけじゃない?」

 しまった、確かに俺がモブならヒロインは八重桜だけになってしまう。それだけは避けなければ。

 ろくな言い訳も思い浮かばずに口走ってしまった言葉に自分自身驚いてしまった。

「俺は、死んでも恋しない。もし俺をその気にさせられたら結婚してやるさ」

「ほんとに!?じゃあ絶対結婚してもらうから」

 そして、この瞬間から俺のモブ人生が終わった。


 なんでこんなことになったのだ。盛大にため息が出てしまう。

「こら、順平くんため息は幸せが逃げちゃうよ」

「そんなこと言われたって、何で俺だけ」

 俺と八重桜はちょうど一時限目が終わった時に学校に到着したのだが、俺だけが放課後に生活指導室へ来るように言われた。

「そんなに落ち込まなくても、帰りにコーヒーおごってあげるからさ」

「お前は俺と帰るつもりなのか、なんかさらに疲れが…」

「えっ!?大丈夫?保健室で介抱してあげようか?」

「まったく誰のせいだか」

「純平くん将来のお嫁さんにそんな言葉はメッ!だよ」

 そんなやり取りの後、教室にむかうのであった。


 教室に入ると親しい友人の勇気に大爆笑された

「よかったな純平、あそこまでかわいい子に結婚申し込まれて。」

「あの、まったく笑えない。こっちはゆっくり過ごしたいってのに」

「よかったな主人公。クッソ笑えるな」

「お前は主人公が良いかもしれないが、俺はモブがいいんだって」

「あれれ~、もしかして私のこと話してた?」

 そこにややこしさが増してしまう人物が来てしまった。

「なになに?私と結婚することをきめたの?」

「そんなわけないだろ、落とせてもないのに」

「八重桜さん、こいつを崖から落とそうか、なんかムカつくし」

「まさか勇気まで敵になるとは、お願いだからモブに戻して」

 ほんと不幸ばっかりだ、なんで俺なんだよ。

「だめだよ、私の旦那さんを殺そうとしたら」

「あー、もう純平まじで爆発しろ」

「何で俺なんだよ」

 そうこうしてると先生が来た。

「ほーら授業始めるぞー、席に着けー」

 いつもは嬉しくない授業開始の合図だが、今回ばかりはありがたく思ったのであった。








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