選択
そうか、俺は……
俺は葵のことが好きだったのか。
隣で葵は微笑んでいる。
俺はこの笑顔を好きになっていたのか、葵の優しさを好きになっていたのか。
夕焼けに染まるいつもの駅からの帰り道。
意識してしまうと顔から火が出そうなほど恥ずかしい。葵は俺の顔の紅さに気がついているのだろうか、夕焼けに染められて気がついていないだろうか。
今まで意識していなかったことを、意識すると鼓動が早くなるのに俺自身感じていた。
しかし、俺には不安があった。
それは、葵の気持ちだ。
もし、もう俺に気が無いとしたら、そう考えるとこで、俺の発しようとする言葉は全て消されてしまう。
彼女の気持ちを彼女の口から聞きたい。
彼女の気持ちを聞くことに対する期待と不安。
「どうしたの?純平くん」
「いや、何でもない。ちょっと考え事だ」
「そっか、そう言えば今日ね…」
葵は今日の出来事を色々と話してくれて、その後他愛もない話をして帰宅した。
いつもと同じように、リビングのソファーに座りくつろぎながらテレビでサッカー観戦をしていた。
珍しく桃華も同じようにサッカー観戦している。
「お兄ちゃん、葵さんのこと好きになったんだ」
テレビに集中しながら、ボソッと桃華が呟いた。
「えっ!?いきなりなんだよ?」
驚いて桃華の顔を見たが、桃華はテレビから視線を外そうとしない。
「お兄ちゃん自分では気付いていないかもしれないけど、今日のお兄ちゃんは様子がおかしいよ。いつもなら私にはよく分からない専門用語みたいなのを使って、騒ぎながら観戦してるのに、今日は何一つ喋らないんだもん。」
「ねえ、お兄ちゃん、私ね…...」
どうやら、点が入ったようだ。テレビで日本代表の若手選手がどうこうと実況者が言っている。
しかし、そんな事気にならないぐらい今の二人の空気は真剣なものだった。
「私ね...お兄ちゃんが...すき...」
突然の告白、これは兄妹としてなのか、異性として好きなのか分からない。
もちろん俺も桃華が大好きである。しかし、その好きは兄妹としてなのか、異性としてなのか自分にも分からない。
これまで一人暮らしで楽しくなかったこの世界、だからこそモブでいたいと思っていた。
しかし、葵、桃華によって俺の毎日がつまらないものから、楽しくなった。
そうか俺は、二人が好きなのか。
つまらないと思っていた毎日、そんな時に、過ごし方次第で楽しくなると教えてくれた。
どちらか一人を選ばなければならない。
俺は...
葵が好きだ
→
桃華が好きだ
皆さん、お元気ですか?まっさんです
今回は最大の分岐点であるヒロイン選択です。
まさしく選択であります。
いやー、どっちも捨てがたいですね。
非常にかわいい。
皆さんならどっちを選びますか?
とりあえずどっちのルートも書こうと思っているので、お楽しみに。