久しぶりの緊張
風邪が治って、久しぶりに学校に行けるようになった。
これも、家に来てくれてご飯作ってくれた葵のおかげだな。
それと、お風呂を沸かしてくれた桃華のおかげでもあるな。
俺の風邪が治って学校に行けるようになったとたん、葵が家に迎えに来るようになった。しかも満面の笑みで。
「風邪治ってよかったね。ところで、それって誰のおかげなのかな~?」
さっきからもう10回目だぞこの質問。何が何でも葵のおかげと言わせたいのか。
「出来の良い妹のおかげかな。」
「桃華ちゃんともう一人居たよね?」
「勇気のことか?」
「もう、なんでそうなるのよ!?」
さすがに少し拗ねてきた。確かに葵のおかげでもあるから、しっかりとお礼は言っておかなければだけど、さっきからこれだからな。
「冗談だよ。葵、ありがとうな。」
彼女の顎を、クイッと寄せてこっちを向かせて、眼を見て言ってやった。
すると、彼女の顔が見る見る紅く染まっていって、目が泳ぎ始めた。
しかし、こんな事をするとさすがに恥ずかしいな。
この状態を見られたら確実に勘違いされるんだろうな。
「痛っ!」
後ろから蹴りが飛んできた。
誰だと振り返ると、まだ家に居るはずの桃華が真後ろに立っていた。
「お兄ちゃん、ナニシテルノ?」
顔は笑っているが、目がまったく笑っていなかった。てか桃華、なぜ片言なんだ。
「いや、看病してくれた感謝をだな。」
「へ~、そーなんだ。感謝であんな二人で見つめ合って、あわよくば唇をって解釈で間違ってないかな?」
「まてまて、唇を狙ってた訳では無いぞ。」
葵を見ると、自分の唇を触ってワナワナしていた。
「葵さんに感謝するなら、私にも感謝するべきじゃないかな?」
「桃華にも朝からずっとお礼を言ってただろ。」
「私は、あんな行動されてないもん!」
ちょっと悔しそうに言ってきた。
とりあえず俺は、一番の疑問を投げかけることにした。
「桃華、今日はずいぶん早くないか?、なんでこんなに早いんだ?」
「そうだった、私ね今日は学校が遅くまであるからお兄ちゃんに、鍵を渡そうとして追いかけてきたの忘れてた。」
疑問が解決された。
どうりで桃華が早かったわけだ。おかげでやばいシーンを見られてしまったが。
「葵さんも、抜け駆けとか酷くないですか。」
「ごめんね桃華ちゃん。そんなつもりはなかったんだけどね。思いのほか純平くんが大胆で。」
あれ?、これ俺が悪者になってね?。確かにちょっと調子乗ってしまった感じはあったけどさ、嫌な予感がするぞ。
「お兄ちゃん。」
ギクッ!
こそこそと逃げようとしていたのが、バレてしまった。
「お兄ちゃん、今日は私が帰ったら話があるから、ちゃんとリビングで待っててね。」
こ、怖い。妹の目が笑っていない。
「き、今日は久しぶりにゲームでもしようかなと。」
「あ?」
「い、いえ何でもないです。リビングで待たせていただきます。」
素直に怒られることにしよう。これぞ、自業自得ってやつかな。
「あっ、電車の来る時間がもうすぐだ。じゃあねお兄ちゃん。葵さんも、また遊びに来てくださいね。」
「気をつけて行けよ。」
「ばいばい桃華ちゃん、また遊びに行くね。」
そして桃華は去っていった。
そこに、葵が一言ボソッと呟いた。
「あんなに怖い桃華ちゃん見たことないよ。」
俺もあそこまで怒った桃華は、見たことがなかった。
それほど俺の行動に問題があったのか。普通に考えたら、付き合ってもいないのに、あの行動はやばいか。
「もし桃華ちゃんが来なかったら、キスしてた?」
「しねーよ。」
「私は、されても良かったよ?」
「付き合ってないのに、キスとかしないから。」
「でも、純平くんて意外と大胆だよね。」
「あれは、お前を驚かそうとだな。」
「私以外にあの行動はやっちゃメッだからね。」
と言いながら、俺のおでこを小突いてきた。
お前のその行動、男子からしたら勘違いするぞ。
「純平くん、モブになりたい割に、けっこうフラグたてるの好きなんだね。やっぱり主人公だね。」
葵が何か言った気がしたが聞こえてないことにしておいた。
なんだろう?、久しぶりの学校って緊張してしまう。
それは、机の中に入っている課題だったり、いきなりわからないところまで進んでしまった授業だったり、色々な不安が休み明けにはあるのだ。
教室の扉を開けると、いつもと変わらない風景が見られた。
「おっ、純平おはよー。朝から夫婦水入らずってとこか?」
「誰が夫婦だ。お前は元気すぎんだよ。」
「そうだよ、勇気くん。私達が夫婦になるのは、卒業してからなんだから。」
あほかこいつは、この発言のおかげでいつも大変なことに、ってもう既お前コ□スって感じの視線を送られてるんですが...
「まあともかく、元気になって良かったな。」
「おう、いろいろとありがとうな。」
「気にすんなって。困った時はお互い様だ。それにいじる相手がいなくて暇だったんだよ。」
感謝するべきか微妙だな。
俺が勇気と喋っていると、葵が他のクラスの男子と話をしていた。
普段なら特に気にすることもないのに、この日だけは何か胸にモヤモヤとしたものがあった。
しかし、俺はそのモヤモヤを気のせいだと思い込み、勇気と俺が休んでた間の話をしていた。
みなさんお元気ですか?まっさんです。私はまた風邪を引いてしまいしました。
そして、風邪明けの学校、非常に緊張してしまいますね。
そろそろいい感じに進んできたモブ俺ですが、まだまだやりたいことがいっぱいであります。
今回ものんびりかいではありますが、お楽しみください。