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モブじゃなくなる!?

 皆さんは、この世は【主人公】とその他大勢の【モブ】から成り立っていることを、ご存知だろうか?

 そう、この俺【広澤純平】も大勢のモブの一人でいた。アイツがここにくるまでは。


「おはよ純平。相変わらず眠そうだな。」

 俺に話しかけてきたのは、イケメンで性格が良く、いかにも主人公の【霧島勇気】である。

「なんだ勇気か。」

「なんだとはヒドイな。せめて挨拶はしてくれよ。」

「あ~、悪い悪い。」

そんな風にいつもと同じ何事もないのんびりとした朝の教室だった。

「そういえば、なんか今日転校生くるらしいぞ。」

「えっ、そうなのか?、にしても珍しいな。」

 転校生とか、完全に美少女で大勢のモブに囲まれるが、なぜかいきなりこっちに歩いてきてなんだかんだなるやつじゃないか?。もしくはいきなり抱きつかれるとか。まあ、俺は主人公じゃないから心配ないか。

 そして、完全に油断して朝のホームルームをむかえた。


「えーと、今日は新しい仲間が来ています。さあ、入ってきてください。」

 担任のその台詞の後に入ってきたのは、金髪の美少女だった。

 クラスがざわついたが、俺はやっぱりかと思っていた。

 転校生なんてイベント、美少女に決まってる。俺はモブでいたいが、美少女を囲むモブにはなりたくない。

 転校生が挨拶をしようとすると、なぜか髪がなびく。これは主人公風とでも言うのか。

「はじめて皆さん、八重桜葵です。気軽に葵って呼んでください。 」

「うぉ~!!」

 クラスから変な歓声があがった。

「じゃあ、八重桜さんあそこの空いている席に座って。」

 なんと、席は俺の隣。クラスの男子がこちらを睨んでくる。

「よろしくね、純平くん。」

「あ、ああ。よろしく」

  ん??ちょっと待て、俺こいつに名前教えたか?、なぜ、俺の名前を知っているんだ?

「なんで、俺の名前を?」

「だって私たち、幼なじみじゃない。」

 俺のモブ人生が崩壊し始めた瞬間だった。


 昼休みになって、俺は勇気と飯にしていた。

 横には噂の転校生の八重桜葵が大勢の男子に囲まれていた。

「なあ純平、お前も葵ちゃんが気になるのか?」

「は、はあ~?、なんだよいきなり。」

「さっきからずっと見つめてたら、そりゃ気になるよ。」 

 どうやら俺は八重桜を見つめていたらしい。自分でも無意識だった。

 そんなことより、幼なじみであると言ったのが気になっていた。

「そんなに喋りたいなら、行けばいいじゃないか。」

「そんなわけないだろ!俺はモブ人生をまったり過ごしたいんだ。」

「俺からすると、お前の方が主人公の素質あるとよ。」

「そんなわけないだろ。」

 そこに、噂の美少女が歩いてきた。

「ねえ、ちょっと話があるんだけどいいかな?あっ、でもここじゃあれだから場所をかえて、ね。」

 いきなりすぎる。しかもクラス中の男子の視線が突き刺さる。

「ず、ずいぶんいきなりだな。行くのはいいけど、どこにいくんだよ?」

「大丈夫、あてはあるから。じゃあ、いきましょ!」


 手を引かれて廊下を歩く。その途中男子の視線がまた突き刺さる。

 そして屋上に続く階段にたどり着いた。

「あ、あの~、手を離していただいても?」

「なんで?私と純平は昔よくこうやって歩いたでしょ。」

「そのことなんだけど、俺にそんな記憶は無いんだけど。」

「はぁ!?本気で言ってんの?」

「ほんとにゴメン、覚えていないんだ。」

「幼稚園の頃だよ?、覚えてない?私純平と結婚する約束したじゃん。」

「けっ、結婚!?。で、でも俺そんなこと覚えてないんだけど。」

「したの、私は純平と結婚するの。」

「え~、でも俺、モブ人生をまったりとすごしたいんだけど。」

「何言ってるの、私の中では主人公だよ。」

 昼休みの終了を告げるチャイムがなる。そして、俺は今日二度目の主人公宣言されたよ。

 どうやら、世界は俺を主人公にしたいらしい。俺は何が何でもモブになるぞ!!そう心に決めるのであった。


 そう決意した放課後、授業も終わったので帰路についていた。

 なぜか隣に八重桜を連れながら。

「えーと、八重桜なんで俺達一緒に帰ってるんだ?」

「葵って呼んで。昔は名前で呼んでくれてたでしょ。」

 名前で呼ぶとか完全に幼なじみルート入るじゃねーかよ。俺は平和に過ごしたいんだ。

「とりあえず、なんで一緒に帰ってるか教えてくれないか?」

「そりゃ、私たちお隣さんだからよ。」

「なっ!?なんだとー!!」

 あまりにもフラグ建設しすぎだろ。この世界はなにがなんでも俺を主人公にしたいのか。

 そんなこんなで、家の前についた。

「それじゃあね、純平。明日は寝坊しないように迎えに来るからね~。」

 最悪だ、なんで世の中はこんなにも厳しいのだ。

 心のなかで文句を言いながら力ない笑顔で手をふっておいた。


 自分の部屋に戻ったら、今日の疲れが出てしまった。そこから少し眠ってしまって、気が付いたら10時前だった。

「このまま寝てしまおうかな。」

 本当に今日はいろいろありすぎた。

 美少女転校生が来たかと思えば、まさかの幼なじみ。そんなことってあるのか。珍しいな。

 そう考えているうちに、深い眠りについた。


 不意にインターホンがなるのが聞こえた。時計を確認すると、いつも家を出る時間になってしまっている。すなわち

「寝坊したー!!」

 その間もインターホンがなり続ける。

「はーい、誰だよこんな朝から。」

 そこには同じ学校の制服に身を包んだ八重桜がいた。

「おはよ、純平。ちゃんと迎えに来たよ。」

「えっ、八重桜なんで?」

「昨日約束したでしょ。って、まだそんな格好なの遅刻しちゃうよ。」

「悪い。すぐに用意してくる。」

 いつもの倍以上の早さで用意するも、遅刻が確定の時間となってしまったのである。



お読みいただきありがとうございます。こんなしょぼい小説ですが一生懸命書いております。ご意見等があればお知らせください。

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