第二話 四丁の銃
はじめましてのかたははじめまして
村瀬灯火です
僕は少し高ぶった感情を抑え、比叡寿菜と共に行動することになった。
僕の状況は一人から二人に増えただけで実質何も変わっていない。
まだふりだし地点に立っているのだ。
しかしそんな状況下であろうと彼女はてきぱきと動いている。
彼女には何か確信というものがあるのだろうか。
「比叡さん!」
僕は声を張り上げて彼女の名前を呼んだ。
少し何て呼んだらいいのか迷ったが、ここは安定に
比叡さんとでも呼んだ方がいいだろう。
「寿菜でいいわ龍一。でなに?」
彼女はゆっくり振り返っていった。
彼女の答えはハードル高め。
まず同い年であろう女の子でしかも今合ったばかりの女の子に呼び捨て。
そしてなによりも、もう僕が呼び捨てされている。
僕たちどんな関係だよ。
まだあってほんの数十分だろ。
しかし今僕の目の前にいる女の子ならそれをしかねん。
なんせ気色の悪いやつだがな。
しかし美人でもある。
しかたないここはもう呼び捨てで構わんか。
「じゃぁ・・・寿菜。君の行動に何か確信はあるのか?」
勇気を振り絞って僕は彼女を寿菜と呼んだ。
そして僕がもっていた疑問も訊くことができたのだ。
しかし彼女は長い黒髪の右側を触りながら
自慢げにこう言い返す。
「特にないわ。」
「・・・・・。」
一瞬僕は黙り込んでしまった。
今までの君の行動は何なんだよ。
勘違いしていた僕が恥ずかしいじゃないか。
でも何でもストレートに思ったことを言うタイプなんだろうな。
もうすこし優しい感じでもいいじゃない。
しかしそれも彼女の魅力の一つなんでしょう。
もう一つでいいじゃないか。
しかしこのままでは何も解決できない。
僕は少し考えた。
確か最初、彼女と会ったとき得た情報は
「村からでれない」ということだ。
現実的にはありえない話だが
比叡さんは嘘をつくような性格ではない。
そうなると「村からでれない」という考えがこの場では正当化することになる。
そんな非現実的なことが起こると言うならば
これを行っている主がいるはずだ。
人間業ではこんなことはできない。
空間を制御することなどもはや神業だ。
この僕の推理が正当であれば
僕たちは閉鎖空間の中に閉じ込められているのだ。
主・・・
それは間違いなく人間ではない。
今までの現象を考えてもそうだ。
人間以外、例えば神であれば
この地に僕たちを連れてこることは可能であろう。
しかしこんな考えなど絶対彼女は信じてくれないだろう。
と僕が考えている時だった。
バーン。
僕が最初に目を覚ました方角から銃声が聞こえた。
「龍一!いくわよ。」
比叡さんは僕を置き走っていく。
彼女は相当足が速いようだ。
あの感じであれば五十メートルは軽く五秒くらいだろう。
そんな彼女に置き去りにされ
さらに五十メートルが九秒の僕が追いつけるはずがない。
でも僕は必死に彼女の背中を追い走った。
僕は体力もないので息が切れそうになるが
彼女は負担を感じない余裕な顔で走っている。
その顔も魅力的だ。
少し走ると僕が目を覚ましたところくらいで比叡さんの足が止まった。
僕はそれをみて力が抜け足をもつらせながらも比叡さんのところまで歩いた。
「あなたは誰ですか?」
比叡さんが木々の方に向かって言った。
僕も比叡さんの方につき話している方向へ向いた。
目の前には木々にもたれている人影。
白色の髪、右手には銃をもちまだ腰に三丁さしている。
僕と同い年くらいの男だ。
赤く細い目をしているその男からは殺気を感じる。
「俺か?俺は長門。長門 柊希。」
彼は見た目よりかは少し優しそうだ。
黒い服を着て銃を持っているので危ない奴かと思っていたのは大丈夫らしい。
「お前たちは誰なんだ。敵なら殺すぞ。」
前言撤回。
彼は赤く細い目をもっと細めてささやくような小さな声で言った。
しかしこんな言葉にも動揺しないのが比叡さん。
危機感というものを感じないのだろうか彼の方によっていき
「私か?私は比叡 寿菜。その銃、私に一つ渡して。」
自分の名前を名乗ったあと彼女は彼の腰から一丁の銃を抜いた。
その行動に彼は驚いたのか、彼は笑い始めた。
「そうかそうきたか。お前たちは敵ではないようだな。」
彼は僕たちを味方だと判断してくれたらしい。
彼は立ち上がり僕の方に来た。
ここは名前を名乗っておくべきであろう
僕は彼に名前を告げた。
「最上。なかなかおもしろそうではないか。」
なにを言っているんだこいつは。
でも僕のことも警戒していないならそれでいい。
長門 柊希。
彼は何者なのか。
どうでしたか第三話もご期待を