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『透明な私』

作者: 四季 ワタリ

『透明な私』



透明な私

何色でもない私

自分の姿がわからない私


蟹さんの赤がとっても鮮やかだったからちょっと借りてみた


空さんの青がとっても優しそうだったからちょっと借りてみた


葉っぱさんの緑がとっても気持ちよさそうだったからちょっと借りてみた


赤い私

青い私

緑の私


でもどれも何かが違う……


蟹さんが言う

『赤色を返してください、それは私の色なので』

空さんが言う

『青色を返してください、それは私の色なので』

葉っぱさんが言う

『緑色を返してください、それは私の色なので』


私はありがとうと言って返した

やっぱりみんなその色が似合ってた



また透明になった私

でも透明という色に気づけた私

そして自分に素直になろうと思えた私







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