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終わりと始まり

 漫画家というのは激務である。

 短い締め切りの中、ネタを考え、読者の人気に沿うことができるように表現を試行錯誤し、紙に落とし込む作業。

 本当にこの展開は読者の好みに合うのだろうか、読者は面白いと思えてくれてるのだろうか。

 そのような悩みが尽きないのである。


「最終話仕上がりましたぁ~……。最終話だけ少しページを増やしてもらうんじゃなかったです……」

「お疲れ、芥屋先生」


 原稿が入ったデータを編集である喜谷さんに手渡した。


「これで芥屋 夢見作、都市伝説おいてけのストーリーが完結だな。とりあえずはよかったよかった」


 私の処女作、都市伝説おいてけ。

 週刊少年誌に18歳のころに持ち込み、即連載となった処女作である。読者からの人気も上々、単行本の売り上げは3000万部を超える。

 ジャッツでは看板作品と評されるまで上り詰めた。


「いやー、まさか看板までなるとは思っていなかったね」

「本当です。よくて中堅くらいだと思っていましたが」

「アニメから跳ね上がったな」

「アニメ化効果すごいですよね~」


 4年前にアニメ化し、アニメが跳ねた。

 単行本が300万部から一気に跳ね上がり、翌年には1000万部をこえていた。


「それで、次回作の構想はあるのかい?」

「ないですね。いつ打ち切りになってもいいように持ちうる限りのネタを詰め込みましたから……」

「そっか。まぁ、少しはゆっくりするといい。芥屋先生なら次もまた面白いのを描けるだろうし、都市おいの功績も含めてしばらくは追い出されないだろうから」

「はい……」

「じゃあ、僕は電車があるからもう行くよ。お疲れ様、新作ができたら連絡してくれ」

「わかりました」


 喜谷さんが帰っていく。

 次回作の構想、思いついていない。ストーリーはまだしも、ジャンルすらまだ決めていない。週刊少年誌なのだからバトルが王道ではあるのだが……。最近の連載陣はバトルを描いておらず、ラブコメやギャグばかりだ。

 数年ほど前に超王道バトル漫画があり、その影響で読者の目が肥えてしまったのだろう。ジャッツでバトルものが伸び悩んでいるというのは喜谷さんから聞いている。だからみんなバトルを避けてラブコメやギャグのほうに行くんだろう。


「うーーーーん……。私もラブコメのほうに舵を……」


 でも今のジャッツでラブコメはダメだ。溢れかえっている。

 ならバトルしかないか。正直乗り気じゃないのだが。バトルとしても他作品と差別化できるような感じにしたい。

 でも自分にバトルものが描けるかなぁ。不安がよぎる。モンスターのデザインとかなら都市おいで怪異描きまくったし何とかなると思うんだけど……。


「うん、よし。じゃ、バトルものを描くためにゲームをしましょう」


 描くためにはバトルをする必要がある。

 現実でそういうことはまず無理だ。だからゲームをする。最近話題のフルダイブ型VRMMO”Fantasy World Online”というゲーム。

 一年前に発売されたゲームであるFWO。世間の評価はすこぶるいい。


「連載もなくなりましたし、単行本作業だけですし、ゆっくりゲームできますね」


 思い立ったが吉日、早速私は車を走らせて買いにいくことにした。












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