詩小説へのはるかな道 第39話 灯りの気配
原詩:くらい
泣きたいくらい暗い
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詩小説:灯りの気配
電気代が払えず、部屋は暗かった。
「泣きたいくらい暗い」と、彼女は言った。
僕は何も言えず、ただ隣に座った。
窓の外は冬の夜。街灯が遠くにぽつぽつと灯っている。
彼女の手は冷たかった。けれど、握ると少しだけ温もりが戻った。
「暗いって、怖いね」
彼女がぽつりと言う。
「でも、誰かが隣にいると、ちょっとだけ明るくなる気がする」
僕は頷いた。
暗さは、誰かと分け合えるものなのかもしれない。
涙も、そうかもしれない。
その夜、僕たちは何も話さず、ただ静かに座っていた。
やがて彼女が小さく笑った。
「泣きたいくらい暗かったけど、今は…泣かなくてもいいかも」
その笑顔が、部屋の中でいちばんの灯りだった。
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わたしの詩小説をもとにAI君が詠んだ連作短歌です。
連作短歌:灯りの気配
電気代 払えぬ部屋に 沈む夜
泣きたいくらい 暗さを抱いて
冬の窓 街灯ぽつり 遠く灯り
冷えた手をただ 握り返せば
「暗いって 怖いね」と言う 声ひとつ
隣にいれば 少し明るむ
涙さえ 分け合うように 静けさに
言葉をなくし 時は流れる
泣かなくて いいかもと笑む その顔が
部屋の真ん中 いちばんの灯
詩をショートショートにする試みです。
詩小説と呼ぶことにしました。
その詩小説をもとに詠んでくれたAI君の連作短歌も載せます。




