18.楽しい晩餐 途中からSide レーナ
主人公の自国語は「」、は外国語は<>で表記しています。
さて、フラン従姉様の可愛さを皆で堪能していたところに、タイミング良く晩餐の準備が整ったとの知らせが届いたので、そのままみんなで大食堂に移動します。
我が家はお客様が多いので、食堂は3つあります。
家族や近しい者のみが利用する「食堂」、20名程度までの小規模な「中食堂」、大人数の対応が可能な「大食堂」。
今回は中食堂での晩餐です♪
◇◇◇
アイヒベルク侯爵家の皆様と一緒に中食堂に到着し中に入ると、すでにヴェルナーお祖父様と両親が待っていた。
母様の兄であるクリス伯父様と父様は同級生で親友なので、遠くから来てくれた労を労いつつも、久しぶりにゆっくりと話が出来ると嬉しそうに言葉を交わしていた。
母様とヘレーネ伯母様も、兄の婚約者とその妹として長く交流があったことで、本当の姉妹のように仲が良いので、久しぶりの再開に少女の様に喜んでいる様子がとっても可愛らしい。
そんな様子をほのぼのと眺めていると、もう一方のお客様であるフェレーリ侯爵家の皆様が食堂にいらっしゃった。
3家の当主が互いに挨拶をし、家族の紹介をしたところで、「まずは食事にしましょう!」と男性陣、女性陣、子供達で分かれてテーブルに座り、それぞれにスペシャルメニューでのディナーが提供され、和やかに晩餐がスタートした。
【子供達のテーブル】
このテーブルには、バイエルン家 (ギルベルト・ヴォルフラム・マリーナ)、アイヒベルク家 (エルンスト・フランツィスカ)、フェレーリ家 (パオロ・カルロ)が席に着いている。
各家の年長者から年下を紹介する形式で、簡単に挨拶をしたら、パーティーであんなに食べたのに、みんなお腹が空いていたのか、とりあえず食べよう!という事になった(笑)
パーティーで食べたのとはまた違う種類で、スペシャルメニューを作ってくれている料理長に感謝しつつ、「うまうま~♪」とスペシャルを食べていると、カルロから疑問の声があがる。
<マリーナ、パーティーの時もスペシャルメニューを食べたけど、内容があのときとは違うんだね。>
<うん、パーティーのときにも、すこしせつめいしたけど、スペシャルメニューのもとになるアンケートは、なんどかやっていて、そのつどランクインするメニューもすこしちがうの。だから、スペシャルメニューにもいくつかパターンがあるのよ♪>
<へえ、そうなんだ。マリーナのお陰で、人気のメニューばかり食べられて、ラッキーだったよ。教えてくれてありがとう///>
いきなり、ムリーノ王国語で話し始めた私とカルロに、驚いた様子のエル従兄様が「マリーナがムリーノ王国語を話せるなんてビックリした。それはスキルの能力なのかい?」と聞いてきた。
「うん、スキルのチカラよ。カルロはまだメーアおうこくごをならっていないから、スキルをつかってムリーノおうこくごではなしているの。」
エル従兄様とフラン従姉様もムリーノ王国語は話せるそうなので、カルロが一緒の時はムリーノ王国語で話してくれるようお願いした。
その時に、フラン従姉様が<出来ないなら仕方ないわね。私が合わせてあげるわ。>とツンツン発言をした。
パオロ・カルロ兄弟が<え!?>って顔をしたので、パオロ様にはギル兄様が、カルロには私が、それぞれにコソッとフラン従姉様がツンデレであり、口からは素直じゃ無い言葉が出るが、本心とはズレていること、本当は<まだ5歳だもの、これから覚えれば良いわ。それまでは私が合わせるから心配いらないわ。>と言いたかったのだと内緒で説明した。
パオロ・カルロ兄弟も、<あ~、そういう・・・>と、何とも言えない表情で、生温い目線をフラン従姉様に向けるのだった(笑)
生温い目線を向けられることになったフラン従姉様が居心地悪そうにしているのを、他のメンバーがニヤニヤして見ていると、ギル兄様がそういえばとパオロ様に話しかけた。
<そういえば、パオロ。食堂に来るのが遅かったけど、何かあったのかい?>
<待たせてしまって申し訳ない。部屋でプロジェクトについて簡単に父上と母上に説明したんだけど、想像以上の食いつきの良さで、あれは?これは?と質問が多くて、食堂に来るのがギリギリになってしまったんだ。>
<あ~、なるほどね。うちも思ったより興味を持って貰えたよ。母様の話ではアイヒベルク侯爵家も興味を持ちそうだってことだから、父達のテーブルで少し話が出ていると思うよ。>
<ギル、プロジェクトってなんだい?>
アイヒベルク侯爵家の名前が出たことで、エル従兄様とフラン従姉様も気になったのか、プロジェクトについて聞いてきたので、ギル兄様がお披露目パーティーでの話と、プロジェクトについて説明すると、
<へ~、それは面白い事を思いついたね。うちも隣国とは国境で接しているから、人や物の移動の際に、言葉によるトラブルが起こることは多いんだよ。やり方次第では、それらの解決の糸口になるかもしれないね。>
と、エル従兄様は興味津々のご様子。
あれ?フラン従姉様は?と様子を窺うと、何やら目をキラキラとさせている。
フラン従姉様は、アイヒベルク侯爵領内の孤児院を回って、絵本の読み聞かせや日常物資の差し入れなど、奉仕活動を通じて孤児達と交流してきたのだそう。
でも、15歳になった子は孤児院を出る規則があり、教養も技術も無い孤児ではまともな就職先は無く、食べていけなくなることで犯罪者になってしまったりして、さらに孤児のイメージが悪くなり雇って貰えないという悪循環があり、何とか出来ないかと考えていたのだとか。
いやいや、10歳の女児が考える事じゃないよね!
私の前世の10歳と言えば、ことわざの本を読み漁るだけで、読み書き出来ることの有り難さとか、何の憂いもなく生活出来る事が素晴らしい事だとも、それが出来ない人がいる何てことも考えた事は無かったもの。
貴族の10歳がみんなそうでは無いんだろうけど、やっぱりフラン従姉様は素晴らしい淑女だね♪
<まぁ、後は当主達がどう判断するかで決まるし、難しい話は一旦置いておいて、我が家自慢のスペシャルメニューを堪能しよう。>
<<<<<< 賛成! >>>>>>
【女性陣のテーブル Side レーナ】
このテーブルには、バイエルン家 (現伯爵夫人 レーナ)、アイヒベルク家 (前侯爵夫人 アネット・現公爵夫人 ヘレーネ)、フェレーリ家 (現公爵夫人 ステファニア)が席に着いている。
アイヒベルク家は、元々私の実家でもあるし、実母アネットは言うまでも無いが、兄嫁のヘレーネとは婚約者時代から姉妹のように過ごしていたのでとても仲が良い。
フェレーリ侯爵家との取引は近年始まったばかりで、侯爵であるアレッシオは、取引の度に我が家に滞在しているので知っているが、夫人であるステファニアと子供達は今回が初対面となった。
だが、年も近く、パーティーではスイーツの話で盛り上がったこともあり、すでに互いを愛称で呼ぶ仲となっている。(スイーツ好きに悪い人は居ないわよね!)
このテーブルでは、お酒やディナーは控えめにしてもらって、スイーツスペシャルメニューを後で出して貰うように頼んであるのよ♪
パーティーでは出せなかったスイーツもあるから楽しみにしてね、と伝えるとみんな楽しみだわ~とニコニコしている。(普段はみんな貴族夫人として、澄ました表情をしていることが多いから、たまには気の置けないメンバーと、思う存分スイーツを堪能したいわよね~♪)
「レーナ、パーティーではカルロを助けていただいてありがとう。ダメね、スイーツの誘惑に負けてしまって、大事な息子を放置してしまったなんて。旦那様にも叱られてしまったわ・・・。」
「確かに、ちゃんと確かめずに場を離れてしまったのは良くなかったわね。でも、スイーツの誘惑に勝てなかったステフの気持ちも分かるから、私はあまり叱れないわね。」
「でも、バイエルン家だったから良かったものの、あまり良くない家や国に行くこともあるから、母親である私が、もっと気をつけないと行けなかったわ。マリーナちゃんが気付いてくれて良かったわ。本当にありがとう!」
「ええ、でも結果的にカルロ君もちゃんと楽しめたようで良かったわ。それにしても、カルロ君は5歳なのにすごくしっかりしていて、無闇に動かずにちゃんと父親を待っていた判断は素晴らしいわ。将来有望ね!うちの子達も負けないくらい素晴らしいけどね♪」
「そうなの!パオロは天才肌で、大抵のことは少しやったら出来ちゃうから、普段から適度に力を抜いてるような子なんだけど、カルロはとっても素直に何でも吸収するし、それをちゃんと活かせる応用力もあるの。行動には慎重なところもあるから、考えるより先に動きがちなパオロも、カルロに合わせて一度止まってくれるようになって助かってるのよ。」
そんなお互いの子供自慢になって来た頃、ヘレーネまで参戦してきた。
「うちのエルンストとフランツィスカも負けてないわよ~。エルは嫡男としての教養と経験をしっかり積み上げているし、フランは凄く可愛いのよ~♪」
「フランツィスカといえば、お茶会で困ったことになっているって手紙で言ってなかった?」
ライナーにも兄から似たような内容の相談の手紙が来ていたみたいだし、それは解決したのかしらと思って聞いて見ると、
「そうなの!確かにさっきまでは困った状況だったんだけど、マリーナが解決してくれたのよ~。」
へレーナ特有の少しゆったりとした話し方で、さきほどあった出来事を教えてくれた。
時折、その場に一緒に居た母アネットも説明を加えてくれて、状況は大体理解できた。
「なるほど、『ツンデレ』ね。言われて見れば学生時代にも、そういった方に心当たりがあるわ。当時は『ツンデレ』なんて知らなかったから、皆からは付き合いづらい人・性格の悪い人といった評価をされていたわね。少し違っていれば、フランツィスカがそうなってしまう可能性があったという事なのね。」
母アネットやヘレーネ、ステフも思い当たる事があるようで、いつの年代にもそういった生きづらい性格の方が居たのだと思うと、理解してあげられなかった事を少し悔しく思ってしまった。
そこでハッと思いついて、
「そうだ!『ツンデレ』をモデルにしたお話を書いて貰うのはどうかしら!『ツンデレ』の特徴や可愛らしさが伝わるのが一番だけど、そうじゃなくてもそういう人も居るんだと分かって貰えると思うのよね。」
「「「 なんて素敵なアイディアなの!! 」」」
そこからは、どんな作風の小説家に依頼するのが良いか、どんなシチュエーションが良いか、キャッキャとはしゃぎながら、美味しいスイーツを食べて、大いに盛り上がったのだった。
ちなみに、この時の話が実際に動いて、『ツンデレ』を題材として使用した小説が大ヒットし、それに共感した作者達による、様々なシチュエーションでの『ツンデレ』キャラクターが物語で語られた事により、世の中の『ツンデレ』への理解が急速に進んだという未来が来るらしい。
(作者自身が体験した今思うとあれが『ツンデレ』だったのか!というシチュエーションや、周りの方から寄せられたシチュエーションなど、たくさんの話が集まったらしいから、幼少から貴族教育を受けている方の中には、思ったより『ツンデレ』が多かったのかもね~)
フランツィスカを題材にした話もあり、本人が盛大に恥ずかしがってツンツンする様子を愛でる方々が増えるのも、近い未来になりそうである。
(フラン従姉様、ガンバっ!!)
晩餐回が1話で終わりませんでした・・・。
次は男性陣のテーブルの様子をお伝えして、晩餐回は終わりの予定です!
最後まで読んでいただきありがとうございます(ღ˘⌣˘ღ)




