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言の葉の家へようこそ ~言語オタクが異世界を満喫する話~  作者: 菖蒲月
第一章 【幼少期編】

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13.5 閑話 我が家の天使 sideギルベルト

マリーナがお昼寝中の間に、少しだけギルベルト視点でのマリーナ誕生時のお話をどうぞ。

 我が家にはマリーナという天使がいる。

3歳になったばかりの、とてもとても可愛い妹だ。


 マリーナが生まれた日のことは、今でもハッキリと覚えている。

僕が7歳で、弟のヴォルフラムが4歳。

春から初夏に移り変わる頃の、とても綺麗な晴天の日だった。


 出産予定日が迫ってはいたけれど、まだ10日ほど猶予があり、かつ3人目の出産なので、母本人も周りもあまり慌てた様子も無く、のんびりとした朝の空気が漂っていた。


 朝食のために、家族が食堂に揃って食事を始めてから異変が起こった。



「ん・・・。」


「レーナ、どうした?」


「ライナー、少しお腹が張って痛みがあるの。もしかしたら陣痛かもしれないから、少し様子をみて、痛みが断続的に続くようなら、お医者様を呼んで貰えるかしら。」


「分かった。クラウス、すぐに医者を手配できるよう整えてくれ。アグネス(侍女長)もレーナの専属侍女達と協力して、出産になっても対応出来るよう準備をしてくれ。」


「「承知致しました!」」


 父も3人目ともあって、慌てることもなく使用人達に指示を出していた。


 使用人達も落ち着いて指示に従っていたので、私もヴォルフラムもあまり気にすること無く、いつも通り勉強などをして過ごしていた。



◇◇◇



 午前中の勉強が終わり、そろそろ昼食の時間に差し掛かるという頃、屋敷内が慌ただしい雰囲気に変わった。


 昼食の支度が出来たと侍従が声を掛けてきたので、何かあったのかと確認すると、母様に本格的な陣痛が来て、分娩の準備に入っていると聞かされた。


 それを聞いても「ふーん、そうなんだ。また弟が増えるのか。」と思うくらいで、普通に昼食を済ませ、午後は剣術の稽古などいつもの日課を熟して居るうちに、そんなことも忘れてしまっていた。


 剣術の稽古の後、汗を流すために湯浴みをして着替えていると、母様の様子を確認に行かせた専属侍従が慌てた様子で戻ってきた。


「ギルベルト様、つい先ほど妹君がお生まれになったそうです!」


「妹?」


「はい。アグネス侍女長より、妹君の誕生と伺いました。奥様と妹君は産後の処置や、休息が必要なため、お会いになれるのは夕食後とのことでした。」


「・・・そうか、わかった。」


 全く予想もしていなかった妹という存在に困惑してしまった。

何故か今回も当然のように弟が生まれてくるものだと思い込んでいたのだ。



 現在4歳の弟、ヴォルフラムはとてもやんちゃで、ジッとしていることが苦手なため、一人であちこち走り回っては、専属の侍従達を振り回している。


 私は嫡男としての勉強が忙しいため、一緒に遊んであげたことは少ないが、身体を動かしていればご機嫌というとても分かりやすいタイプなので、時間が取れるときは一緒に鍛錬などするようにしていたし、次の弟も似たような関係になるだろうと漠然と考えていたのだが・・・。



 妹というのは、どう接したらよいのか・・・。

赤ちゃんの頃はまだ良いが、年頃になればドレスやお菓子の話ばかりするようになるのか?


 うーん、年も離れているし、適度な距離感が保てるようにするべきかもしれないな。

まぁ、ヴォルフみたいに手が掛からないようなら、適度に相手をしておけば良いだろう。


 そんな浅慮な私の考えは、夕食後に母様と妹に会いに行ったことで簡単に覆されてしまった。



◇◇◇



夕食後、ヴォルフを連れて、母様と妹の顔を見に部屋へ向かった。


「ギル兄、いつから妹と剣で遊べるかな?」


「ヴォルフ、妹はまだ生まれたばかりだし、女の子だから剣では遊ばないと思うよ。」


「えー!!妹って剣で遊ばないの!?なんだ、つまんないの!」


「こら、ヴォルフも兄になったんだから、妹には優しくしてあげなくちゃダメだよ。」


「ちぇっ、分かったよ。」



そんな会話をしている内に、出産の為に準備された部屋に着いた。


コンコン コンコン

「ギルベルトとヴォルフラムが参りました。」


 中から父様の声で「入りなさい。」と返事があった。



「失礼します。母様のご様子は如何でしょうか。」


「失礼します!母様、大丈夫ですか?」


「ギルもヴォルフもありがとう。3人目だったし、お産はとても順調に済んだから大丈夫よ。さぁ、貴方たちの妹のマリーナよ。声を掛けてあげてちょうだい。」



 母様が寝ているベッドの横にベビーベッドが置いてあり、妹はそこに寝かされているらしい。

ヴォルフと一緒にベビーベッドに近づき、上から覗き込むと・・・そこには天使がいた。


 母様と同じハニーゴールドの髪の綺麗な顔をした赤ちゃんがすやすやと寝ている。

目は開いていないので瞳の色は分からないけど、目が開いたらもっと可愛いだろうなと素直に思った。


 これだけ可愛いと、マリーナを奪おうとする害虫がたくさん現れそうだから、もっとたくさん勉強も鍛錬もして、守ってあげなくてはいけないという気持ちが、不思議と強く湧いてきた。


 そこまで考えたところで、そういえば自分ではベビーベッドを覗き込めずに、父様に抱っこして貰っているヴォルフがやけに静かだと見てみると、キラキラした目をしてマリーナを見ていた。


「ギル兄、マリーナ可愛いね!俺、知ってるよ。小さくて可愛いから、妖精だよね!」


「ヴォルフ、違うよ。マリーナは天使だ。天上の世界に帰ってしまわないように、守ってあげなくてはいけないよ。」


「わかった!妖精の国に連れて行かれないように、俺がちゃんと守るよ!」


 そんな兄弟の様子を見ていた両親は、呆れるどころか「まあ、頼もしいお兄ちゃん達ね♪」「うんうん、我が家の姫は誰にも渡さないよ。」と同調する始末。


 マリーナの誕生とともに、元々子煩悩な両親が親ばかに昇格し、さらにシスコン兄弟が爆誕したのであった。


 この後、更に孫ばかが誕生し、バイエルン家の賑やかな日常がここから始まった。


最後まで読んでいただきありがとうございます(ღ˘⌣˘ღ)

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