表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
比翼連理〜想望南総里見八犬伝〜  作者: 藤波真夏
第一巻 犬飼現八編 
2/5

第一節 信の八犬士

時は室町時代。

 俺は物心ついた頃には本当の親の顔を知らなかった。赤ん坊の頃に捨てられて、通りすがった心優しい男に引き取られた。

 それが小文吾、犬田小文吾いぬたこぶんごの親父さんだった。俺と小文吾は乳兄弟として育った。俺は捕物の仕事をしながら生きている。が、俺の右頬には奇妙な牡丹柄の痣があった。そして「信」の字が書かれた不思議な玉もあった。

 顔に牡丹柄の痣なんて、目立つし気味悪いだろう? 俺はこの顔が嫌いだった。だから仕事の時は布で顔半分を隠し、牡丹柄の痣を人前に晒すことはなかった。小文吾にも俺と同じ痣と玉があった。

 運命かと思った。小文吾も親父さんもお袋さんも俺の顔を悪くは言わなかった。そんな時に告げられた、「八犬士」の存在。この痣はその証なんだと。

 疑った。

 しかし聞かされた伝説は全て辻褄のあったものばかり。そして八犬士と自覚してからは周囲で不思議なことばかり起こる。もう疑うことはなかった。

 そして八犬士が揃い、あれよあれよという間に魔女・玉梓との戦いに勝利。玉梓は退いたのだった。里見を恨む玉梓の呪いが完全に消えたわけではない。俺たち八犬士は里見へ仕えることになったのであった。

 そして言われた言葉に俺はさらに耳を疑った。


「功績を讃え、我が娘たちをそなたたちに妻として差し出そう」


 義成さまには八人の姫がおり、八犬士にそれぞれ妻として差し出したのだった。

 俺の妻など・・・なんとも哀れなものだ。こんな見た目の夫など、気味悪がって逃げ出すに違いない。里見の姫など・・・俺の顔を見れば一夜で逃げ出すだろう。


 そうだろう? しおり


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ