表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

僕の純文学作品集

ネトオクで星座を落札する

作者: Q輔
掲載日:2022/12/06

 スマホでネトオクを見ていたら、オリオン座が競売されていた。

 

 え? オリオン座ってあれ? 冬の夜空に輝くあの星座?


 一瞬目を疑った。でも、オークションに出品されていたのは、間違いなく狩人オリオンの雄大な姿を形どった星々であった。都会の夜景に浮かぶオリオン座の画像に、商品説明が添えてある。


『千万年前の商品ですのでやや劣化をしていますが、未使用です。キズなし、新品同様』


『最低落札価格 ¥3,500~』


 うおおお、安いっ! てか、星座の相場よく知らないけど!


 僕は反射的に競売に参加し、落札価格¥5,800で、見事オリオン座を落札した。


 それから、胸を躍らせてオリオン座の到着を待ち続けた。


 ……あれ? なかなか商品が届きませんけど。てか、出品者からの発送連絡すらありませんけど。


 騙されたか? 11月中旬頃、痺れを切らせて、出品者にメールで確認を取る。


『商品は行き違いで発送したところです。今夜、夜空を見上げて下さい』


 その晩、半信半疑で見上げると、確かに僕が落札した商品が、キラキラと夜空に輝いていた。


 うおおお、この広大な宇宙に、僕の所有物が輝いている。僕は時を忘れてオリオン座を眺めた。


 おや? オリオンがこん棒を振りかざす右腕の付け根にある星、あれってもう少し赤みがかった色をしてなかったっけ? 


 妙な違和感を感じた僕は、出品者にメールで問い合わせをした。


「すみません。あのベテルギウス、偽造品ではないですか?」


『言いがかりはやめて下さい。あれは正規のベテルギウス。正真正銘の一等星です』


 猜疑心を拭い去れない僕は、ベランダに巨大な天体望遠鏡を持ち出して、数百光年先にある星の表面を確認した。星の表面には、隕石が落ちたような跡が無数にあった。


「キズ物じゃねーか。騙したな。何が新品同様だ」


『……配送の途中にキズがついたのかも』


「これはクレーム案件だ。星座は返品する」


 クーリングオフ期間中だったので、返品手続きは速かった。ほっ。危うくバッタモンを掴まされるところだったぜ。


 数日後、スマホでネトオクを見ていたら、なんと、あのオリオン座が、また出品されていた。


 年代物、キズあり、を逆手に取り、ヴィンテージ商品として高額で競売されている。


 落札価格は、まさかの、¥50,000。


 その日から毎晩、他人の所有物となったオリオン座を歯噛みをしながら眺めては、


 「爆発しろ! 赤色巨星せきしょくきょせいになって超新星爆発ちょうしんせいばくはつで消えて無くなれ!」


 と、星に願いをかけている。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 新しく見つけた星に名前を付けるようなものでしょうか? [一言] 読ませて頂きありがとうございました
[一言] 壮大な様で身近な話、とても面白いです
[良い点] 発想に驚きました! 面白かったです!!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ