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新卒それなりの知名度大学出の「アリくん」をキリギリスがゲームに誘ってみた

作者: もうあかんわ

 最近涼しくなってきたなぁ、そんなことを思いながらゲームをしているキリギリスがおりました。


 大学4年生、一浪しているためになんだか思うように友達もできません。そもそも一年浪人していることが原因なのか、もっと根本的に問題があるんじゃないのか、ゲームをしていてもふっとそんなことが頭をよぎります。


 この年齢になると、いよいよ周りとの差がもうシャレにならないくらい、というよりもひっくり返しようのない格差が生まれます。そんな自分がみじめに思えるコールドゲームの現実はどうしても目を向けることが億劫で鬱です。正直やってられません。


 だからゲームに逃げます。最近始めたイカ大戦3はとてもおもしろく土日には大型イベントが開催されてすでに本日よりゲーム世界の外観が変わっています。


 なんてきれいな世界なんだろう、そんなときにふと小学時代の幼馴染のノビタ君似の少年にLineをしました。いっしょにイカ大戦3のフェスをやろう、べつに一人で部屋にこもりっきりですべてに鬱屈としていたことが理由ではなかったのかもしれません。ただ当時は確実に私よりも格下の蟻畜生だったアリくんも今や立派な新卒社会人。高校からそれなりの知名度の大学、新卒採用へとストレートに上り詰めた社会のエリートです。


 アリくんの私への対応はわかりきったものでした。一浪、大学4年キリギリスへと容赦がありません。「まだ就活やってるの?」「車検のせいでお金がないからイカ大戦3を買う金がない。」などと車保有のアピールや、私が就活で苦労した話をどこからか耳に挟んでマウントをとってきます。


 このアリくん、偉くなったものです。Lineのメッセージの対応機能などをフルに活用して人を鬱にしてきます。


 自分が間違いでした。結局のところ社会に出る方々、いや虫ケラどもは自分のリスクを極端に減らしたがります。時間は有限のため無駄な人間関係と判断した相手はなんの躊躇もなく足蹴にします。


 キリギリスはアリくんがLineごしに相手を見下しているのが伝わってひたすらに鬱でした。


 アリくん、彼は片田舎のそれなりに安定していそうな業界に就職しています。どうやら今は東京の本社勤務が目標のようです。


 アリくん、応援してるぜ。


 そしてこの文章を書いているキリギリスくん、きみは新卒で働いている同級生のみんなだったり毎日汗水流して働いてくれているパパとママを「アリくん」と表現できるほど偉いらしい。


 ただね、アリをアリとして認識できるのはきみがそれ以外の虫ケラだからだということを忘れてはいけないよ。


 またキリギリスくん、最近涼しくなってきたなぁ、と言っていたね。


 円安、過去三十年類を見ない消費者物価指数の高騰、コロナ、中露米といった世界情勢の不安、国政の不祥事、


 間違いなく、今の時代は冬だよ。


 最後に生き残るのがだれなのかは考えておいてね。


 童話:現代のアリとキリギリスより


読んでいただきありがとうございます。評価に☆をつけていただけると嬉しいです。

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