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神だった友人は人間らしく戦う

「今消えてないってことはお前らの剣って本物?」


「えぇ、もしもの時のためのものなので短剣ですが」


「短剣ね!むしろ使い慣れてるから好都合だよ」


天音は適当の王都の騎士から短剣を4つ抜き取り、俺とヒートとアランに投げ渡した。


「俺達はむしろ、魔法よりこっちが合ってるでしょ」


そう、俺以外の3人は、皮肉なことに攻撃方法は武器に頼らざるを得なかった。

仮にすぐに武器を生産できるチルハに出会えなかったらその戦績は悲惨なことになっていたかもしれない。


だから、俺達は修行をしていた。国がよく見渡せるあの場所で。

毎日のように戦っていた。


痛みを感じにくい相手も、会話ができない相手も、得体の知れない化け物も、俺というゴーレムと戦う練習をしていたことによって、慣れていたはずだ。


「たしかに、王と聞いてビビッちゃったッスけど魔物みたいなもんッスもんね!もうとっくに逆賊になる覚悟はできてるッス!」


「頼もしいな青年。しかし、どうやって血を飲ませればよいのだろうか。」


「チルハ君が前にやっていたみたいに釘を刺して体内にいれるとか?」


「口から摂取しないと効果は無いであります」


「口って…どれだよ…」


天音が嘆く。当たり前だ。上にいる怪物は目と口が無数にあり、どれが本物の口かなんてわかるわけがなかったからだ。


「ま、とりあえずやってみるしかないっしょ!」


その行き当たりばったりでポジティブな作戦は神様が考えるようなものではなく、間違えなく桐生天音らしい言葉であった。


------------------------------------------------------------------


まず、男組が囮として、王の肉塊と戦っていた。

アイリスの魔法が発動する場所まで連れていき、天音は上空から飛び口の中に届かせるという作戦だ。


俺達は王の意識をこちらに向けるため、ひたすら肉塊を切り刻んで攻撃していた。

肉塊は切っても切っても無限に襲ってくる。おそらく自然に回復し続けるものなのだろう。こんなものが民に攻撃をしだしたら災害どころの話でなくなってしまう。


「大丈夫ッスか!ゴースケさん!」


俺の背後から襲ってきた肉塊をヒートが斬ってくれたらしい。


「ありがとう!助かった」


人間体になって実感したが、ヒートもアランも本当に強い。

アランは音も無く素早く切り裂いていく。逆にヒートは打たれ強く、攻撃されてもその攻撃の力を利用したままぶった切る。

俺はゴーレム体出ないと並の人間以下であるため、2人に助けられつつ戦うような状態になってしまっている。

とはいえ、ゴーレム出会った時の修行は無駄になっていなかったらしく思った以上に動けていて戦力として数えられる程度には戦えていることは嬉しく思った。


俺達が禍々しい肉塊と戦っている隙に翼を生やした天音が上空に来る。


魔法が使えない範囲に入った途端。


翼が消え、急降下するが、その場で肉塊に思い切り斬りかかり、カレンを追う時に俺がやっていたように刀を肉塊に突き刺すことで、高い位置で留まることに成功した。


肉塊がムチのように天音に襲う。

天音は天性の身体能力でそれを蹴り倒した。全く冷や冷やさせるな。


俺達と戦っていた肉塊は一斉に天音を敵と判断して攻撃に向かう。

俺達は一本たりとも届かせてたまるかと、必死で切った。


天音はその隙に無数の口の1つに向かってナイフを投げ入れる。


「成功したか…!どうだ…!?」


アランの言葉通り。肉塊は作戦通りナイフを飲み込んだ。


その途端、肉塊の動きは止まる。


天音は冷や汗をかきつつ笑顔で勝利のピースをした。


天音は安堵の息をついてから肉塊に刺さったナイフを離した。

無茶な飛び降りに焦って、俺は天音の下に行こうと走り出す。


とはいえ、天音は運動神経がいいためなんやかんやで着地はできるだろう。

そんな事を考えていた。その時


着地する寸前の天音に影が差した。


上から大きなへびのような肉塊が覆いかぶさるように口をひらいている。


それは確実に天音を呑み込もうとしている動きである。


「天音!!!!!!!!!!!!!!!!」


俺は剣もなにもかも投げ出して、天音に抱き着くように飛び掛かった。


しかし、その肉塊は想像以上に大きく、朝日に照らされていた俺達2人は、一瞬で闇へ呑み込まれた。


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