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こんな友人を離したくない

「な、何?!やめろよ、ねぇ」


天音は全身から電撃のようなものをだして、抱き着く俺を拒否する。


普通の電撃は俺には効かない。

しかし、神になった天音は、ゴーレムの俺にも痺れと痛みが来る電撃程の強烈な電撃を浴びさせてきた。


それでも俺は天音を抱きしめ続けた。


「離して、お前の思考が流れ込んでくるの!離せよ!!」


天音は余裕なさげにもがく。


天音の魔法は接触すればするほど人の心を読み取れる。

嫌でも俺の心が読めるはずだ。


俺は、俺達は絶対にお前から逃げない。

お前を幸福にすることから、恩を返すことから、理解することから、逃げない。

お前は逃げるのか、俺達から。


「俺が幸せじゃなくったってお前には関係ないだろ!!!!!俺が良いって言ってるからいいんだよ!!!!!!!!」


関係ないわけあるもんか!!!!!!!!


少なくともお前が笑ってないと幸せになれない人物がいる。

仮にお前が神になって、人々が安心して暮らせて、幸せになれたとしても。お前が笑っていなかったら、お前が笑えない世界だったら、俺は全然幸せじゃない!!


「こんな面倒くさくて傲慢な奴いなくても幸せになれるよ!!!!!!!!」


天音は叫び、電撃を強くする。皮が強引に四方に引きちぎられるような激しい痛みだ。それでも俺はより抱きしめる力を強くした。


お前が例え、俺達を逃がし、て遠くで幸せに暮らせたとしたとして、俺はお前から逃げたことを一生後悔する!

俺だけじゃない。


ヒートもチルハもアランもウーサーもエリスもお前の事が好きな奴だけが不幸になるんだぞ?!


「わかった!わかったから、一回離せって」


離さない。俺の話を聴け。


「うぇえ?!お前そんなに強引だったけぇ?」


お前には強引に行かないと話が通じないとわかったからな。


「あぁもう聴くから、わかったから!頭パンクしそうなんだよっ…!」


苦し気な声に罪悪感が生まれるが、もう、コイツを離したくなかった。今、離したら消えてしまいそうな気がしてしまった。日頃の行いだ反省しろ。


「あぁもうなんで、俺にそんなに構うの?!俺、お前らに黙って、挙句の果てに殺そうとしてんだよ?!しかも心を無遠慮に読んでくる。そんな奴いない方がいい!絶対!!!!」


んなわけあるか!!!!!お前本当はわかってるだろ!!

俺はお前が好きなんだ!!!!!!


心の中で叫んだ途端、天音が急に静かになり、電撃がパタリとやんだ。


俺から顔を逸らし唇をわなわなとさせている。


もうここまで来たら、言うしかない。いや、伝えたい。


わざと俺の心の声を聞こえないふりをして、魔王を当てがおうだとか思えないぐらいに、逃げたりしないぐらいに、この思いを伝えたかった。玉砕してもいい。

この気持ちを伝えないと、天音は俺の言葉を理解してくれない。


俺は天音が好きだ。愛している。


「勘違いだって!一回冷静になってみろよ、お前女と付き合ったこと無いからたまたま仲良くしてくれる美女にその気になっちゃっただけだって、」


そういう突飛で面倒くさい思考も、自信満々なのに自己評価が低くて、友達が多いのに寂しがり屋なちぐはぐなところも好きだ。


「思い出してみろよ、俺男だぞ?お前が苦手がってたチャラ男だぞ?」


こうして、異世界転生して、お前と冒険してお前を知っていくことが次第に楽しくなっていたんだ。お前ともう一度仲良くなれてよかった


「ぜ、全部思考が俺の中に流れ込んできてんだよ!?恥ずかしくねぇの?!こっちが恥ずかしいんだけど?!」


恥ずかしいもんか、やめるもんか、これはそう、攻撃だ。

最強になってしまったお前に効く唯一の攻撃だ。


果たしてお前は俺の愛に耐えきれるか


「ちょ、ほんとに離して!頭にお前の言葉、いっぱい流れ込んでみて頭おかしくなりそう…!」


天音は泣きじゃくるように俺を突き放そうとする。

それでも俺は天音の事を考え続けた。


陽キャで、調子にのりやすくて、ノリが軽くて、無邪気で、おせっかいで、楽観的で、明るくて、トラブルメーカーで、行動力にあふれてて、フランクで、不思議で、性根が悪くて、目立ちたがり屋で、軽薄で、寂しがり屋で、にぎやかで、ズルくて、冗談ばっか言って、変わらなくて、破天荒で、誉めたがりで、慕われてて、話し上手で、仲間思いで、嘘つきで、生意気で、天真爛漫で、機転が利いて、ちゃっかりしてて、子供みたいで、突飛で、誰よりも光が似合うお前が、好きだ。


「もう勘弁して……!!」


天音は顔を真っ赤にして消え入りそうな、涙声で言った。


俺の幸せは、天音を幸せにすることだ。


それが夢で、誓いで、理想だ。絶対に今、お前を離さない。


こんな恥ずかしい言葉を伝えたいと思ったのは初めてだ。


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