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独りぼっちな友人を知る女②

確かに天音には彼女がいたらしい。


本人曰く向こうから告ってきて1週間後一方的にフラれたらしいが。

陽キャの恋愛はテンポが速すぎる。


……いや、待て、そんな偶然あるものか。そう何人も知り合いが異世界転生するものなのか?


「偶然なんかじゃありませんよ」


後ろで、縛られながらも優雅に観戦している魔王が言った。


「光の勇者の嫌がらせのつもりで彼女を召喚しました」


元凶かよ。

っていうかお前絶対力づくでこの触手破れるだろ。まさかそのまま観戦スタイルを貫くつもりか?


「マジ?やっぱそうだったんだ天音ちょー気まずそうでウケちゃった」


「では成功ですね」


「アハハ」


意気投合するんじゃないよ。やりにくいじゃないか。


そう思った時、ムチのように一本の触手が攻撃をしてきた。

生憎俺に物理攻撃は効かないため、それを掴み、カレンと名乗った女を引き寄せようとする。

しかし、カレンも一筋縄ではいかないようだ。その力を利用して俺の腕を縛り付け、背中に周りこむ。

俺は、すぐに縮み縄抜けしてから腕だけを巨大にし殴る。カレンは転がるように緊急回避した。


「あの派手なレディ、見かけによらずかなり動けるな……」


「サンキュー!JKの時新体操やってたから!」


触手は切っても切ってもすぐに復活するため埒が明かない。


「天音ちゃんの昔の恋人???ってことは天音ちゃんは女の子もいける??」


「チルハくん?何ブツブツ言ってるんスか?」


触手に捕らわれているという非日常的状況にも関わらず割と仲間たちは平然としている。俺が倒せると信頼してくれてると好意的に解釈しておこう


「あ、アンタ今でも天音ちゃんのこと好きだったり…」


「アハハしないしない!!アイツ甲斐性ないし付き合っても関係変わらなかったし」


付き合っていたという事実が突き付けつけられるたび、心にグサグサと突き刺さる。先ほどから身体的なダメージは微小であるが、心に負うダメージが大きすぎる。

みんなもどこか複雑そうな顔している


「あれ?もしかしてみんな天音にゾッコンって感じ?」


攻撃を止めずに軽い調子でカレンは言った。


生憎様だが割と図星だ。


「え~やめときなよ~アイツなんつーか深淵?っつー感じでやってらんねーから」


どういう意味だ。ギャルの言葉は陰キャには難しいんだ


「姐さんに何か事情があるっってことッスか?」


「やっぱ知んね~んだ。アイツそういうの隠すもんね」


彼女面が留まることを知らないな。


俺は、みんなに攻撃が当たらないよう、階段上までカレンを投げ飛ばす。カレンは触手を使い、上手く着地をした。


「でもアンタは知ってるっしょ?兵頭轟介クン」


思わず拳を止めてしまった。俺のことを知っている?


「やっぱそうだ。アンタ兵頭轟介クンだ。天音が言ってたよアンタも転生してきてるって」


よくよく考えてみたら、いつも天音がつるんでいるグループにそんな雰囲気の女いた気がする。女子グループで一番権力がありそうな快活な女子。


いや、コイツのことは今はどうでもいい。天音の深淵ってどういうことだ。


「痛っ、大人しい男子かと思ってたけど女の子の顔とか殴っちゃうんだ~」


良心が痛む事を言ってくれるな。

思わず拳が鈍る。

そこを狙ってか俺の首に一本の触手が巻き付いた。しかし、呼吸をしていない俺には効かない。そう思って引きはがそうとした時、


「カレン。どうして彼のことをフったのです?私聴きたいです」


みんなと一緒に観戦してたはずの魔王が、俺のすぐそばでそんな事を言う声が聞こえた。

その次の瞬間にはふわりと俺の隣を横切って触手の上を走り、カレンを片手で捕らえた。


「ひぇ~魔王強っ、そんな強いのに天音のこと知りて~の?」


そんな状況にも関わらずカレンは余裕な態度で言う


「はい、嫌いな人間の不幸話は蜜の味どころかキャビアの味がしますから」


「恋バナとかめっちゃ久々!ここの同僚女っ気ないやつらばっかでさ!」


「奇遇ですね。私も人間と友好的に話すのは久々なのでついついハシャいでしまいます」


境遇に全く共通点が無いが、奇遇らしい。女子ならではの感覚なのだろうか。

そんなズレた女子トークをしていると思っていたら、突如、カレンの触手が分裂し、細い触手が魔王の首を絞めた。それでも魔王は余裕そうな態度を崩さない。


「ふふ、ゴースケ。ここは私がやりますので、貴方はそこで優雅に眺めてなさい。」


言い終わった時には魔王の姿は消えていた。


「マジ?どこ行った?!」


「ここですよ」


カレンの背後に背中合わせをするように立っていた。


カレンの顔は一瞬真剣に変わり、触手を使い天井に張り付いた。


今、魔王が攻撃をしていたら確実にカレンを倒せていた。


「で、聞かせてください。アイツをフった理由」


「あんまオモロくないよ。魔王チャンが満足するかなぁ」


カレンは冷や汗を流しつつ、魔王に向かって触手を伸ばすがその全てを受け流し、一本の触手を掴んだと思ったら、片手でカレンを吸い寄せた


「アンタの魔法って不死じゃなかったっけ」


「はい。どんなに怪我してもすぐに回復するので常人がセーブする以上の筋肉量がだせるんです」


「ってことは痛みはあるでしょ。イカレてんね」


「王を目指す人間たるもの少々イカレていた方が魅力的でしょう」


魔王がその言葉を言った時には完全にカレンの動きを封じていた。





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