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金髪である友人は不良仲間と間違えられる

俺らは、道中出会った魔物を倒しつつ第3区に向かっていた。

特に、魔王や騎士の事情に詳しいアラン曰く、王都に入れるのは1区から2区の人のみらしい。


そして、ウーサーの記憶を信じるならば光の勇者とは突如現れた騎士であるという。さらに、王都の騎士団がなぜか今血眼になって探している。基本的に王都は騎士に志願した人間の魔法は全て把握しているらしい。ヒートが言うには攻撃系の魔法を持つ1区~2区の人間は基本的に騎士になることが家族から求められているためほぼ確実に王都の試験を受けるらしい。前世でいる大学受験のような感覚なのだろうか。

兎にも角にも、光の勇者とは、王都に入るための試験などを一切受けてこなかった騎士なのだろう。


つまり3区~5区に潜んでいる可能性が高い。


「っつーわけではじめてきたな!!3区!!」


門に入るなり天音が叫んだ。

王都の通行許可証(チルハと天音は偽造だが)があれば基本的に地区間の移動は問題ないらしく、俺とウーサーはアランに透明化してもらうことで難なく通れた。


「こ、これ違法入国だよな?」


ウーサーが若干怯えながら俺に強くしがみつく。


「前まではそれ言ってたのヒートだったのにな~」


「慣れないとやっていけないッス!」


「それもどうなんだよ…」


幼い割に、普通の感覚を持っているようだ。明らかに足りていないツッコミ枠ができるというのはありがたいことだ。


3区は商店街で構成されているようで、アランと天音がデートをした地区の雰囲気に少し似ていた。お店と家が一体化している家庭が多いようだ。

穏やかそうな顔立ちの住民が目立つ。


「お前ら、この街を爆破するぞという意識を忘れんなよ!光の勇者がどこにいるかわからないからな!!」


天音が小声で忠告したことにより思い出した。そりゃそうだ。光の勇者が、こんな平和な町の爆破計画を見過ごせるほど悪人なわけないだろう。


「あ、あの、ちょっとお願いがあるんやけど」


おずおずとチルハが手を挙げた


「ウチの実家、蔵書がいっぱいあって、もしかしたらどこかに光の勇者に関しての記述とかあるかも…」


「そういえば、チルハくんは3区出身ッスよね!」


「う、うん!」


「お、じゃあ実家とか寄ってくか?」


「ひわ、ええの?」


チルハはローブを上げて、うるうるとした瞳を上目遣いにして天音を見た。


「お前にそんな顔されて断られるわけないだろ~?挨拶させろ!」


そう言ってローブの上からわしゃわしゃと乱暴にチルハの頭を撫でた。


「いや―チルハの家族ってどんななんだろうな~」


「ひわわ、ふ、普通やよう」


「ツリーハウスに住んでいそうなイメージがあるな…」


「わかるッス木の実とか食べてくらしてそうッスよね」


「リスやん」


好き勝手チルハの家族を想像するが、正直俺もシル※ニアファミリーのような家庭を想像している。


しかし、予想は大きく裏切られることになった。


「あ、ここやで…!」


チルハが指さしたのはごく普通の一軒家であった。ここまでは予想通りだ。


しかし、チルハが指さした家の扉が勢い良く空いた。


「チルハぁああああああああああああ!!!!」


そこから出てきたのはとてもシル※ニアファミリーのようなキャラクターではなく、どちらかというと大怪獣にも似た迫力を持って立つ女性だった。


「ひわわわわわわわわわわわ」


そして、何より俺達以上にチルハが怯えていた。


「アンタ!!何がひわわわわよ!!ある日突然王都に違法入国して禁止書籍漁るとか書き残していなくなるなんて何考えてるの!!?正気!?!」


まずい。チルハの行動の方がクレイジーすぎて、母親らしきこの人物の意見に一切反論ができない。


「ちゃ、ちゃうねんお母さん!今日はお友達つれてきたんよ~」


「家出して、こんなあからさまに悪い友達つくって!!」


自分たちを客観的にみると、右から金髪巨乳美女、仮面の男、筋肉質な大男、ローブで顔を隠す女、ゴーレムと子供、明らかに正義の集団と一目でわかる集団ではなかった。

どうしてこれを家族に紹介しようと思えたのだろう。


「あなたぁ!!チルハが不良になっちゃったわあああ!!」


「ま、待ってお母さん!!」


すげぇ家に連れてこられてしまった。

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