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微妙な関係の友人をいい気にさせてはならない

正直数年間まともに喋ってない。俺は天音の動向を気にしていたし、変わっていく天音に寂しさのようなものを感じていたが、恐らく天音は何も考えていない。


たまたま近くにいたのが俺だったから誘惑しているだけだ。俺も美少女に生まれ変わったら男をからかってみたいという気持ちはわからなくもない。


そう夢の中で言い聞かせていたところ、ふっと目が覚めた。

「お、起きたか。目覚めはどうだ?!」

目の前には、日曜日に父をたたき起こす男児のような顔をしている美少女がいた。

「なぁなぁなんか知らない世界に来てたけどこれ死後の世界ってやつかね?よくわかんないけど、俺の方がちょっとだけ先に起きてたし知ってる情報共有する!」

ドヤ顔で言うが、なんとなくこの状況は想像がついている。

異世界転生ものの創作などいくつも読んできた。予想外なのは自分がゴーレムの姿でお前と転生したということだけだな。

「この世界の人はどうやら魔法が使えるらしいんだよ」

先ほどの攻撃もやはり魔法だったのか。

「お前も何か使えるはず!もしかしたらゴーレムになる魔法かもな~お前も中身は美少女だったりしねぇ?」

なるほど。無意識に魔法を使っていたという線はあり得るのかもしれない。しかし、使い方がわからん。せめて、小さくなることができれば移動も会話も楽そうなのだが。

なんならあまり目立ちたくないから手のりサイズとかでいいな…

コイツの肩にのれるぐらいの

なんとなく頭でそんな光景を思い浮かべた時、体が宙に浮いていた。

「お?」

驚く暇もなく重力に従って真っ逆さまに落ちていく。

声が出せないため叫んで恐怖を分散することもできないので心の中で叫ぶ

が、柔らかい地面に包まれるよう着地した。

「なんだ!小さくなれるんじゃん!!」

そしてそのクッションが天音の手の中でもあった。

「立場逆転だな~ウケる」

ウケねぇよ。

あぁ、俺は正真正銘ゴーレムであるらしい。

「とりあえず、それがお前の魔法かな?自分のサイズを変えられる的な」

じゃあ逆にもっと大きくなることも可能なのだろうか。使い道が多そうだが使い勝手は悪そうな魔法だ。


「魔法ってなんかワクワクしねぇ?絵本の世界に入ったみたいだよなー」

コイツのファンタジーは絵本レベルで終わっているらしい。不安だ。

「なんか、この辺りめっちゃ魔物でるんだよ。俺は残念ながら戦闘力ないからさ!お前がいてくれると心強いよ!」

本心から言ってるのか、俺に気を使って言っているのか、とことん読めないやつだな。

「ほら、あぁいうやつ」


天音が指をさした方角には、見るからに魔物といったような禍々しく大きな猪のような生物がいた。


本当にいるんだ。現実感が無い…というか。

コイツなんでそんな堂々としてるんだ?戦う術はあるのか?

今戦闘能力が無いとかなんとか言ってなかったか??ということは


「お前の出番だ轟介!行ってこ~い!!」


天音は信じられない事を言って手のひらの俺を野球のピッチャーのような動きで猪に向かってぶん投げた。


本当に信じられない。

やはり俺は利用されるだけ利用される存在なんだ。

いや、今はそんなに悲観的になっている場合じゃない。どうすればいい?大きくなる魔法でできる攻撃ってなんだ?のしかかり?

俺は慌てふためきながら先ほどのように自分が大きくなるイメージをする。

できれば拳で叩きつけられればいい

そんな事を考えた瞬間。俺の腕から拳にかけてのみが巨大化した。その重みで真っ逆さまに体が落ちる。

メキメキと拳に嫌な感触がする。

その時走馬灯のように、生前台所で出会ったゴキブリ相手にパニックになり素手で殺してしまった時の記憶がよみがえった。




「いやーこれで安心だなー!俺にボディーガードができた!」

誰がお前のボディーガードをするなんて言った


よくわからないまま魔物を倒した俺は文句の一つでも言ってやろうと天音のところに戻ると何とも腹の立つ事を言う天音が待っていた。

「いやー!!お前最強だよ!!すげぇ!」

なんだかこの男…いや、今は女か。コイツに過剰に褒められると何か裏の考えがあるのかと勘繰ってしまう。俺を馬鹿にしてるのかはたまた利用しようとしているのか…

しかし、コイツと行動を共にしないとまともにコミュニケーションすらとることができない。第一コイツを放っておいて死なれでもしたらさすがに目覚めが悪い。かなり気まずいし、腹が立つが、アマネと行動を共にするしかない。


「なんか拳汚くなっちゃったな。ここの湖で洗ってやるよ~」

そんな事を考えていると突如そのような声がし、急に水に沈められた。

慌てて顎に頭突きをした。


「なんだその地味に痛い攻撃!!危ないだろ!」

危ないのはどっちだ。よし。今度からはこれで抗議の意思を示そう

「…言葉を使えないのは不便だけどお前の力は汎用性が高そうでいいな!」

攻撃への文句の表情から一変。急に笑顔でそんなことを言い出した。

「…胸の谷間とか入れてやろうか?」

いたずらっぽく天音が笑ったので顎に軽く頭突きをした。


コイツはすぐ調子にのるのでいい気にさせてはならない。

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