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軽薄な友人は誘いに乗る

「ふふ、ストーンキャットばかりでなく俺にも話しかけてほしいなマイハニーキャット」


「マイハニーキャット!?」


俺は戸惑っていた。

天音がこの痛い言動をする360度怪しい男に若干の好感を持っていそうなことに。


「ってか、お前俺をどこに連れてくつもりなんだよ!?何されるの俺!?」


天音は捕らわれのヒロインのように自分の身を抱く。そんなタマじゃないだろうに。


「怖がることは無いマイハニー、君の事をもっとよく知りたいんだ…」


まずい雰囲気を察し、俺は天音を守るようにして立ちはだかった。


「ストーンキャット、そんなにビッグな姿になれるんだな…君の魔法かい?マイハニー」


「…」


天音は立ちはだかる俺の前に出た。




「…ねぇアラン。デートしない?」




この唐突な言葉を発したのは、紛れもないアマネだった。


俺は聞き間違いか思って慌てて縮んでアマネの肩を揺らす。変なところでも打ったのだろうか。

もしかして俺の知らないだけで恋愛対象が実は同性だったのだろうか。それならなおさら俺の出る幕がないのだが


「落ち着けってゴースケ!別にコイツ悪いやつじゃねぇって」


いや、唐突な拉致は完全に悪いやつのやることだって!!

俺の訴えも残念ながら伝わらず、天音はアランに近寄った。

アランもさすがに目を丸くしているが、すぐにその目は輝きだした。


「オー!マイハニーその気になってくれたのか!!」


「いや、別にその気になったわけじゃないけど、そういうつもりで誘拐したんだろ?」


そうなのか?!パーティーに入るか否かの話をするか、はたまた無理やり結婚式をあげようとしているのか、など様々な選択肢を想像していたが、デートのためだけに誘拐をするとは思わなかった。


「ふっ…なぜわかったマイハニー…」


マジでそうらしい。


「なんか一回エスコート的なの受けて見たかったんだよな~!生前だともてなす側だったし」


「生前?」


「あ、やべ、こっちの話」


う、そういえばコイツ彼女持ちだった時期があったな。

いや、1ヵ月以上長続きしないわ来るもの拒まずスタイルだから告られてフラれてを繰り返していたとは聞いていたが…


そうだ。最近、あまりにも距離が近づきすぎて忘れかけていたが、本来俺と天音は程遠い人種だったのだ。

それに比べて、アランとかいうこの男、言動はおかしいが、明らかに天音と波長が合いそうだ。


なんやかんやほだたされてマジで結婚とかするんじゃないか?という不安が胸中に舞い降りた。

いや、それは、天下をとるとか小学生男子でも思いつかないような夢よりよっぽど健全だが…


「善は急げ!行こうぜ行こうぜ!」


「せっかちな子猫ちゃんだぜ。それではお手を拝借」


あまりにもスピード感のある会話に置いて行かれそうになり、俺は慌てて体を小さくしてアマネのポケットに潜り込んだ。

アランはそれを確認してかしまいか、軽々と天音を姫抱きにした。


「おぉ!?」


天音が珍しく翻弄されている。新鮮だが、なんだ、このモヤモヤは


「普通じゃありえないトレビアンなデートをお届けするぜ!」


「お姫様抱っこする必要ある!?」


「あるさ!だってそっちの方がトレビアンだろう!舌を噛まないように気を付けてくれ」


アランは人一人を姫抱きをしているとは思えない、スキップのような浮ついたステップで走り出す。


あまりにもな展開に逆に騙されているのではないかという疑念が生じた。このまま、王都の牢獄にポイっとされたり、人身売買されたり…いや、それにしてはあまりにもずさんだが…


「そんな心配そうな顔すんなって」


天音が俺を摘み上げて言った。いや、顔無いが俺。


「もし、なんかあってもお前にかかればコイツなんて一発だって」


だから俺の力への信頼何?!

アランがどんな能力を持っているかすらわからないのに…


「そんな荒事にはさせないさ。」


「まぁ本人もそう言ってるし!」


楽観的すぎる…いや、そもそもコイツは今が楽しければそれで良しのノリを生きるタイプであった。


俺はついていけるのだろうかこの二人のスピード感に…そもそも俺がいて良いのだろうかこの空間に


あまりにも心配事と、奇天烈な出来事が一気におきすぎて、俺は一度考えるのを止め身を任せることに決めた。

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