これからのこと
昨日は大変だった。
高額の報酬に釣られ半獣の青年を連れ戻れば、やたらめったら注目されるわ。ギルドで時間を喰ったと思えば、散々粘ったのに報酬は三分の一しか支払ってもらえなかった。
ベッドの中でもぞもぞと寝返りを打って昨日の事を反芻していると、階下からいい匂いが漂ってきた。
セイルが朝ご飯でも作っているのだろう。セイルは家事が得意だったらしく昨日食べた晩ごはんは絶品だった。
自分の事は自分でと言ったが、また食べさせてもらえないかな? と考えながらベッドを抜け出し身支度を整えるとキッチンへと向かう。
「おはよう……あれ? ロータス? セイルは?」
「あいつなら飯食った後どっか行ったぞ」
「そうなんだ」
フライパンを握っていたのは意外にもロータスでちょっとだけがっかりしたもののシュティの前にも皿を用意してくれた。
「ありがとう」
「それ食ったらギルド行くぞ」
「ふええ?」
何で? と聞こうとしたのに口いっぱいに詰め込んでいたせいで変な風に喋ってしまった。
「慌てるな」
「ありがと」
追加でミルクまで貰ってしまったのが恥ずかしくて顔を上げないようにミルクをちびりちびりと飲む。
「お前の借金返済に付き合ってやるんだよ」
「いいの!?」
ガタンと立ち上がれば飲んでいたミルクが零れたが、そんなのが気にならないくらいロータスが言った言葉の方がびっくりした。
「ああ、借金返済が終わったら俺は旅に出る。もちろん一人でだ」
「どうして?」
「ここは居心地が悪い……、それに俺は誰の命令も聞きたくないね」
聞いてもいいものか分からなかったけど、すんなりとロータスが答えてくれた事にホッと息を吐くと、耳元のイヤリングがしゃらりと揺れた。
昨日は慌ただしくて寝る時まで気付かなかったが、かたっぽはロータスの左耳にもうかたっぽはシュティの右耳にくっ付いて外れなかった。
驚き慌ててロータスのところに向かえばロータスも驚いていたもののシュティ程は驚いてなくて、何でなんだと詰め寄れば「そういう魔法なんだろ」と言われ納得した。
だから二つのイヤリングはそれぞれの耳で揺れている。
もしかしたら外せる魔法があるかもしれないが、もちろんシュティはそんな魔法は知らないし、イヤリングを外した事で契約の方に何らかの影響があるんじゃないかという事で、兄のソールに手紙を書いて何か知っている事はないか聞いてみようと、昨日の晩にセイルに手紙を渡してある。
シュティは元々借金の為だけにロータスを討伐しようとしていたので、出ていくというロータスを止めるのは、違うとは思いつつ。どう返事をしたらいいのか分からず、とりあえず口の中にパンてたまごを入れて咀嚼する。
ロータスは既に食べ終わっていたのか、食器を片付け始めていたのでシュティは返事よりも食べる事を優先させた。
続きを書こうか迷ったのですが、一旦完結させていただきます。ここまで閲覧ありがとうございました(*^^*)
続きが出来ましたらまた連載しますm(_ _)m