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幼馴染の願い

 本部本部とうるさいおばばを黙らせ、なんとか本来の三分の一無理やりゲットしてきた。


 セイルに渡すと「頑張ったじゃない」とお褒めの言葉と共に投げキッスをいただいた。あの時のロータスの顔は忘れない。


 ほくほくとしているシュティの横で若干げっそりとしているのはロータスだ。


「ふふふふーん♪」

「おい」

「ふふふ……あ、ごめん忘れてた」


 ロータスは濃い連中にばっかり会ってしまったとげんなりしながらシュティの家に案内され、今はロータスの部屋だと与えられた部屋に到着したばかりだ。


「それで、なんで俺だったんだ?」

「へ?」

「俺の討伐クエストに拘らなくても、都会の方のギルドに行けば低ランクでも受けられる高額のクエストあったんじゃないのか?」


 言われてみればそうだ。考えてもみなかった事を言われシュティは「ええっと……」と言葉を濁すが、このまま黙ってるのも違うなと思いロータスにちゃんと説明をしようと決めた。


「……という訳なの」

「……なるほどね」

「あのね、でもね、あたし、ロータスの依頼見てこれだ! って他のクエストなんか目に入らなくなって」

「そうか。飯出来たら呼んでくれ。俺は疲れたから寝る」


 それだけ言うとロータスはシュティの返事も聞かずに部屋から締め出した。


「あら、シュティどうかしたの?」


 ノエルは家族に帰った事を報告してくると言って家の前で別れたはずだが、報告だけしてこっちに来たのだろうか?


「あのね……」


 そうは思ったもののロータスに呆れられてしまったとさっきまでロータスと話していた事を伝えるとノエルはシュティに「ちょっと待ってて」と言ってそのままロータスに宛がわれた部屋に突入して行った。


「ここはシュティが大事にしてきた家よ」

「お前……」


 ロータスがベッドで横になっていたら、勢いよくノエルが入ってくるなりロータスを睨みつけてきた。


「もう一度言うわ。ここはあの子たち兄妹が大事にしてきた家なの」

「で? 俺が邪魔だって言いたいのか?」

「当たり前でしょ!」


 それ以外に何があるの! と今にも噛み付きそうな態度にこれが普通の反応だよなとさっきまでの殊勝なシュティの態度を思い出しながらどうやってノエルを部屋から追い出そうか考える。


「契約してしまったのはあんたの意志じゃないのは分かってるわ。でも、あんたが今までしてきた問題でこの家が危険に晒されるような事があったらただじゃ済まさないんだから!」

「そうか。それで、話しはそれだけか?」

「まだまだいっぱいあるけど今のところはこれだけでいいわ」

「そうか。俺が信用ならないと言うならお前はどうするんだ?」

「は?」

「お前は俺がしてきた事でこの家が荒れるのは許さないと言うが、俺がここにいるという事はあっという間に広がるぞ。その時この家を守れるのは誰だ? 少なくともお前ではない事は確かだが」

「……っ!」

「実力もないくせに偉そうにするな」

「……ええ、そうね。その通りだわ。あたしが口出しするのは間違ってるのは分かってるけど、これだけは言わせて。シュティはね、あんたとは違って普通の子なの! あんたみたいに殺伐とした世界なんか知らずに育った兄想いの普通の女の子なんだ。本当はあんたみたいなのは近くにいて欲しくない。だけどあんたが言うようにあたしにはあの子を守るだけの力はないわ。……でも、あんたはあんたなら契約したあんたなら守れるって言うのなら仕方ないけどあんたにあの子を守らせてあげる。けど、あの子を泣かすような事があったら許さないから」


 ノエルは「それだけ」と言いたい事は言ったとばかりに立ち去った。


 ロータスはしばらくノエルの言葉の意味を考えていたが、小さく「そんなの知るか」と呟いた。


「俺は俺の好きなようにするし、俺を殺そうとする奴は全力でぶっ潰すだけだ」




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