表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/13

第二話 桂木招太郎は片思い

1年2組のクラスの扉は前も後ろも開け放たれ、当然その中からは賑やかな声が聞こえてくる。雪女から逃げるためにわざわざ隣町の学校を選んだ桂木は、親しい友達などいるはずもない事実に肩を落とした。しかし、重い足取りで教室に入り辺りを見回した桂木は、たちまち顔を輝かせた。

桂木の視線の先、前から2列目の一番廊下側の席。そこには短い黒髪とタレ目が特徴的な少女――安達ヶ原瞳がいた。桂木と同じ小学校に通い、何度か同じクラスにもなったことのある子だった。現在片思い中の相手でもある。

「ひ、瞳ちゃん! 瞳ちゃんもこの学校なんだね。しかも同じクラスだなんて!」

心踊らせる桂木とは反対に、読んでいた本から顔を上げた瞳はコテッと首を傾げた。

「……誰だっけ?」

桂木はその言葉にショックを受けたが、それを隠して笑った。

「ほ、ほら、小学校で一緒だった桂木招太郎だよ。覚えてないかもしれないけど……」

「ああ、桂木くん。たしか4年生の時同じだった……?」

「そう!」

「忘れててごめんね。よろしく」

「いや、もう3年も前だから……こちらこそよろしく!」

かろうじて瞳の記憶に自分がいたことにホッ胸を撫で下ろしながら、桂木は黒板を振り返った。久しぶりに真正面から話をして真っ赤になった顔を隠すためだったが、瞳はすぐに本に視線を戻していた。

黒板に貼られた紙で座席を確認した桂木はまたも心踊らせる。なぜなら、桂木の席は瞳の隣だったからだ。

(瞳ちゃんと隣だー!!)

桂木は叫び出したい衝動を抑え、グッと拳を握った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ