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とある事情の  作者: 海月
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取り決め

 高級そうな日本産の車の後部座席に、久我誠也と並んで座りながらつらつらといろんなことを考えた。実家に荷物をいつ取りに行こうかとか,学校までの交通手段とか,もう苗字が白島ではないんだよな,学校ではどうしようとか。

 すると,まるで心の声に答えるように,隣の人物が口を開いた。


「今向かっているのは,君の高校に近い高層マンションだ。学校までは歩いて向かう事ができる。それから,学校では旧姓のままで。うちの秘書が結婚のこと含め,学校には許可をもらっているから問題はない。君の私物は好きな時に,実家に取りに行っていい。この車を使うといい。」


 そういえば,

「久我さんの学校はどこなんですか?」


その質問を聞いて彼は信じられないようなものを見る目を向けてきた。

「…君と同じ学校だ。そうか,君は特進科だったな。俺はプラチナコース,いわゆる特別コースだ。」


 なるほど。


 うちの高校は,普通科,特進科,そしてプラチナコースに分かれている。普通科は一般の学生,特進科は学力の高い一般生徒で構成されており,特進科で10位以内に入ると学費免除になる。

プラチナコースは上流階級向けのコースで,将来のために帝王学や社交術,作法など,普通の勉強に加えて様々なことを学ぶ。当然,学費はべらぼうに高い。ていうか,ネーミングセンス無いな。

私は父親に頼りたくは無かったので,がむしゃらに勉強して特進科に入った。

…プラチナコースという名前がダサかったからというのも少しはある。


 普通科.特進科とプラチナコースでは建物が違うから,同じ学校に通っていると知らなかったのだろう。普通科には玉の輿を狙っている生徒もいるようだが,特進科の生徒は自分で稼ぐ気まんまんなのでプラチナコースのことはあまり話題に上らない。だから,こんなにも目立つ彼の存在を知らなかったのだろう。


「プラチナコースでは,俺の結婚,相手ともに明かす。

うちのクラスでは婚約・結婚はあまり珍しいものではない。まあ,わざわざ別の建物まで嫌がらせに行くような奴はいないだろう。久我に喧嘩を売るやつがいたら見てみたいものだ。

普通科にうわさが広まり,君が相手だとばれるのは時間の問題かもしれないが,特進科の連中はそういったことに無関心だから,学校生活に支障はきたさないだろう。」彼は続ける。


「家では極力かかわるな,必要最低限のことだけ話すように。携帯電話の番号は交換するが,むやみにかけるなよ。必要なものは,秘書の電話番号を教えておくからこいつに伝えればいい。」


「わかりました。」私が答えると,彼は満足そうに頷いた。


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