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バンカ知る
「ネアが?」
バンカは仲間の胸ぐらをを握ってそう叫んでから、この男らしい用心深さで、仲間を人気の無い路地に引っ張り込んだ。何やら慌てて駆けてくる仲間を見つけ、事情を聞くと、ネアたち四人が兵士達に捕らわれたというのである。
兵士にこのネッタの区画の者を捕らえて連行するのに難しい理由は要らなかった。挙動不審者という理由だけで良く、実際にそういう理由で領主の館に連行された者が、何人も戻ってこなかった。
とりわけ、バンカが領主の館に忍び込んでから、その傾向が顕著になった事にバンカは気付いている。バンカはあれこれ考えを巡らし、まず仲間をそのまま長老の所へ走らせた。しかし、その後の算段がまるで立たなかった。彼の侵入時に比べて今は格段に警護が厳しくなっている。その中に侵入し、四人の仲間を連れて無事に帰るなど不可能だろう。バンカは何かわめきつつ他の仲間を残して人混みの中に姿を消した。




