三話 能力
そろそろこの世界の概要と能力を書いておかないとと思いました。
能力
予備知識から得たことをおさらいする。
この異世界には神が実在した通り、地球では空想、物語のような種族や能力、現象が存在している。盗賊などはまだましだというような邪悪な存在もはびこっていれば、勇者や英雄と称される強者もいる。
そしてゲームのような現象もあった。代表的なそれは衛兵に提示した小さなカードだ。名刺ほどの大きさのそれは簡易版のステータスが見れるものだ。本来のものはもう少し大きく名前や年齢、種族や身分、性別、能力やレベルのようなもの、スキルには属性なども表示される。発行元によってギルドカードとも呼ばれるそれには現在、
<ルーベン・バックフェルメント・サンドマン>
<15歳>
<人間・貴族・男>
のみが表示されている。
任地までの移動のために役所が発行したものは簡易版のもののひとつである。すべて見るには本来のカードでなければならないのだが、ここに神の加護というのが役立てられた。
<ルーベン・バックフェルメント・サンドマン>
<15歳>
<人間・貴族・男>
<称号・なし>
<能力:総合レベル20>
(体力:1520)(魔力: 500)
(器用: 220)(俊敏: 180)
(物攻: 320)(物防: 280)
(魔攻: 220)(魔防: 180)
<スキル>
(剣技:【片手剣・上級】【魔法剣・上級】【短剣・中級】)
(装備順応:【武器全般】【防具全般】)
(魔法属性:【全属性・中級】)
(魔法耐性:【全属性・中級】)
(固有スキル:【鑑定】【看破】【状態異常無効化】【運命の導】etc…)
確認してみると多分、多分だが俗にいうチートまではいかないステータスがかなりの高ステータスとスキルを保有していることに気が付いた。
神から得手不得手のないようにしておくと聞かされていたが実はこのスキル以外に初級レベルのものがかなりの数保有していた。
まず気付くのはルーベンの記憶でもわかってしまうのだがこの年齢ではありえない能力値、およそ十倍近い数値は町でも見かけたベテラン冒険者や衛兵に勝る数値である。装備が全て使え、さらに魔法属性、耐性も全てに対応している人間はありえない。さすがに中級でとどまっているところには安堵の息を漏らしている。
それでもスキル数は間違いなくチート級、とりあえず使えそうなものや育てなければならなさそうなものは頭の片隅においておく。
本来は王宮、役所、神殿、各種ギルドでステータスを確認するものらしいが仕組みはところどころで違うものの各所で完備されている鑑定方法はすべて神から伝えられた方法であった。
つまり俺も同様の能力を神の加護として受け取っていたことになり、ステータスについてはすべて【鑑定】のおかげで自分はもちろん他人も確認できることがわかる。他にも【鑑定】では武器やアイテム、素材なども確認できる。このスキルのおかげで多分森に出れば収入は見込めそうである。
予備知識でさらに確認しておかなければならないことがある。
まずは今の身分に関係したもの、そうこの国、フィセルのことだ。異世界全般で見れば主要大陸の南端に位置する小国と定義されるが小国といえど王族も貴族の健在の封建国家、これまでは現代の民主主義の中で育った男としては差異も多い。
この小国フィセルの下級貴族であるサンドマン家はかつては法衣貴族になんとか引っかかっていたものの今は騎士階級、場合によっては貴族には分類されない身分である。代々の役目もなく当主によってその時々に適した役目を振られる程度の家柄の当代の亡き叔父は妻であるルーベンの叔母のおかげで王領地の町の代官職に任命されていた。出世にも成功したのだが結局は道中でこのありさま、この町で生涯を終えている。滞在中の町ボブスは国の西部に位置する。さらに南西に乗合馬車で二日ほどかけたロティーという村と農園の管理、開拓を任されるはずであった。今の俺としては一度叔母のいる屋敷に帰りたいところである。
フィセルのことについては頭の中であらかた整理がついた。ルーベンの記憶ではせいぜい成り立ちや伝統、風習くらいしか確認していない。神からの情報からの方が多いくらいだ。この国があの神に関係したこともわかった。今の神殿とあの神は関係ないところも把握した。フィセルの主神は慈愛の神でも生と死の神でもない。いつしか他の勢力に追いやられている。それでも地方には小さいながらもあの神を祀る神殿も残っている。機会があれば足を運ぶつもりだ。
俺としてはこのまま生を全うしていきたいところだが多分それはかなわないだろう。なにせ、【運命の導】なんてスキルもありその内容からあの神に導かれるのは確実だからである。
魔法については、想像通りで間違いなかった。
属性は火、水、風、土、聖、闇などが主要属性で杖や魔法書、マジックアイテムなどが存在している。魔法の習得方法も簡単に教われるものから儀式や修行、特定条件を満たしたものなど多々存在するし、使用方法も魔法陣が必要だったり呪文の詠唱が必要だったり媒体が必要だったりする。
俺の所持品にはその杖も媒体もないがスキルの中に【無詠唱】【魔法陣省略】なんて便利なものを見つけており増幅機能として杖があればと思う程度でいる。中級程度なのでなんとか使用できそうとも見立てていた。
せっかくだし明日にでも威力を確認しておくことにした。
とまあここまでなら大魔導士とまではいかなくても名の知れた魔導士や魔法使いでも使えるものはいるのだがやっかいとでもいうのか俺の保有する魔法属性は全種、つまりこれで終わらないのだ。
これが俗にいうチートともはや断定している。
つまりはその他の魔法属性がチートなのだ。精霊魔法に召喚魔法、古代魔法なんてのは、序の口で、時空魔法、神聖魔法、暗黒魔法、精神魔法、これ以上はいいだろう。ようは禁術なんて部類も身に着けている。もちろん大魔法に部類されるものは魔力の関係からまだ使用できないが今現在この世界で失われた魔法を保有していることが明るみに出たら……というわけでチートと断定したのだ。
他にも錬金術、呪術、魔術など魔力に関係するものも多いがスキルを見ると前世の因果だろう復讐やら呪いなどを冠したものも多い。多分この世界では一生使わないだろうと思い定めている。いやそう思い込みたい。
フィセルの地理を整理し、当然のようにフィセルの内にある特に心ひくものも整理していた。それはダンジョン、ルーベンの記憶でも存在は知っているものの予備知識の方が俺を魅了する内容である。ダンジョンはモンスターの巣窟であり、いわゆるドロップアイテムも確保できる使用になっている。神の管轄ではないようだが成り立ちや内容、その特質も伝えられている。さすがに個々の位置や性質まではわからないが異世界を生きる上でできたら一度くらい踏破してみたい。ゲームのように中ボスがいたりダンジョン主なんて大ボスがいたりするが今すぐ挑戦なんて無謀なことは考えてない。昨晩の盗賊との命のやり取りも現代社会で殺人未遂までしかなせなかった俺には手に余る内容であり、モンスターも実際に遭遇してみないと能力値では判断できそうにない。
それでもボブス周辺にあるのならいってみたいとは思っている。
だからと言って不可抗力ですぐにダンジョンに迷い込むとはおもっていなかった。
さっそくブックマークしてくださった方々に感謝。