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桐島編 おまけ

前に活動報告で載せていたハロウィンネタです。

 私は目当ての人の後ろ姿を発見した。その人物を走りながら追いかける。

 足音か、それとも気配で気付いたのか。その人物は私がいる後ろを振り向いた。


「海砂ちゃん?」

「せんぱーい!トリックオアトリート、お菓子くれなきゃ悪戯します!」


 彼、桐島奏汰先輩に追いついた私は、両手を皿にして先輩にお菓子を催促する。


「そういえば、ハロウィンだったね」

「はい!先輩、お菓子下さい!」

「ん、ちょっと待って」


 ガサガサと鞄を探る。

 何かを取り出そうとした時に、何かを思い立ったというように桐島先輩は口角を上げるだけの笑みを浮かべた。


「あぁ~やっぱりお菓子なかったよ」

「へ?」


 中途半端に取り出したものを鞄の中に押しやった。チラッと見えたものは、私が好きなチョコの袋に似ていた。

 それに気付いたのか。桐島先輩は何事もなかったように鞄をそっと隠して、笑みを深める。


「だからさ、海砂ちゃん。俺に悪戯していいよ?」

「はっ?」

「だからね、悪戯していいよ?君が気が済むまま、ずっとね?」

「えぇぇ?」


 にっこりと笑みを浮かべたまま、さぁ早く!と言いそうな表情で私を見る。

 逆にそうされると悪戯する気が起きないのは人間の心理だろう。


「無理ですっ!」

「なんで?君が言い出したんだよ?」

「無理無理、私が桐島先輩を悪戯するなんて‥!」


 手と首を全力で振りながら、無理だということをアピールする。

 桐島先輩はため息を一つだけ零し、そっと人差し指で自身の唇を触る。その仕草が妙に色っぽくてドキッと胸が高鳴った。


「じゃあ、君はお菓子持ってるの?」

「はい、もち……あっ」


 あっ、お菓子きらしてた。

 チラッと桐島先輩を見ると、にっこりと笑みを未だに浮かべているが、その笑みが爽やかじゃない。黒い黒い笑みだ。

 ダラダラと冷や汗が流れ落ちる感触が全身を駆け巡った。


「君にも悪戯しないとね」

「えっと、それは私がしなかったらなしの方向で…」

「君が無理って言ったのだから、俺には関係ないよねぇ?」

「……そうで御座います、奏汰様」

「うん」


 笑みが黒い。ブラック奏汰様が降臨したようだ。

 そんなブラック奏汰様は、私の腕を掴んで自分の方に引っ張る。体勢を崩され、そのまま彼の胸へと倒れ込んでしまった。

 胸の中でごそりと動くが、すぐにギューッと抱き締められ、身動きがとれなくなる。


「海砂ちゃん可愛いよ、凄く。俺の胸の中にすっぽりと収まるなんて…」

「きりしま、せんぱい?」

「悪戯したいな?いいよね?」


 そう言い終わると同時に私の顎を掴み、上を向かせる。そのまま唇を合わされた。

 啄むような口付けは何度も角度を変えられ、私を求めていると感じられた。


「んっ、せん…ぱい」

「海砂ちゃん、海砂…ごめん、止まんない」

「ちょっ…せんぱっんん」


 流石に息が苦しくなり、桐島先輩の胸を軽く叩くがその手は掴まれてしまった。

 苦しくて、涙がジワリと滲む。桐島先輩はハッとそれに気付き、名残惜しそうに唇を離した。


「ごめん、がっつきすぎた」

「ひどいです…」

「ごめん、ごめんね?今度はゆっくりするからもっかい、いい?」

「え?」

「ごめんね。本当に今、余裕ないんだ」


 そうやって、桐島先輩はまた私の唇を味わうようにキスをした。


 後からお詫びといってチョコを貰ったのは言うまでもない。

 これって餌付けですか?

 そうチョコを食べながら桐島先輩に言ってみたら、にっこりと微笑まれた。


ここまで読んで下さってありがとうございます!

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