トリックスター
「今頃、目を白黒させてるでしょうね!反町は!」
「惇君、大吾を驚かすのが目的じゃないでしょ…そんなことはどうでもいいんだよ!」
少々骨は折れたがな。
今、自分に出来る全力疾走で走りながら、次の目標に向かっていた。
「けどどうして、結衣さんのことばれてるって分かったんですか?」
「なんとなくだよ、なんとなく。
まぁそれが大吾にはアドリブに写って、トリックに感じるのさ。
結衣は切れてるだろうけどな。」
「いいんですか?結衣さんほっといて。」
「お前殴られるぞ、結衣に。」
「どうして?」
「あいつは慌てちゃいねぇよ。
大吾は女相手にするやつじゃねぇし、たとえ殺されそうになったって、結衣は一人で脱出出来るんだよ。」
「なんでそんなことわかるんですか!絶体絶命の危機ですよ!」
「それはお前の価値観さ。
少なくとも、俺や結衣は違う。
そうゆうもんなんだよ、ぼうや。
殴られたいなら、止めねぇよ、助けに行けば?」
「わかりましたよ!」
敵が回りに居ないのを確認し、俺は立ち止まった。
「どうしたもんかな?」
「なにをですか?」
「だから嫌だったんだよ、お前を連れてくるのは…
大吾が俺達の持ってる図面通りの場所に細菌なんてもん置いてるはずねぇだろ?
その場所の見当がつかねぇから悩んでんじゃねぇか!」
「なるほど…けど。」
「やっぱそうだよなぁ、大吾の懐だよなぁ。
けどそれだとお手上げなんだよ。」
「えっ。」
「わかんねぇか。
大吾を生かしたまま奪い取るしかねぇんだよ!けどそのぐらいの策はあるだろうし、殺したらその場でバーンだ。」
「じゃ自分達も…」
「お・わ・り・だ。」
まったくいつもいつもこのパターンだ、嫌んなるぜ。
結局正面かよ…
「と、彼も考えているはずだ。」
「その裏でここには無い、とか?」
「君はほんとに素晴しい女性だね、アンドロイドでなければ結婚を申し込むよ。」
「それはどうも、けどあんまなめてっと、自爆するわよ、ニヤニヤしちゃって。」
「それでもいいんだが、もう少しこのゲームを楽しみたいんでね、僕は。
すくなくともここまで期待を裏切りはしないどころか、さすが滝本って動きしてるんでね、彼は。
僕は痺れてるんだよ、この結果に。」
だめだわこいつ、いかれてる。
「けど言えないよ。」
「なにを?」
「さっきから逃げようと思えば、いくらでも逃げられたはずだ君は、それをしなかったのは、細菌のありかを突き止めるため。
そうだろ?」
「じゃ単刀直入に。
どこにあるの?細菌は。」
「遠いところさ。」
また綺麗な横顔を、今度は月明かりに照らしながら、とても愛しそうに呟いた。




