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また。
まただ。
取り残された。
自分だけが取り残された。
頬を伝う涙。
笑っているはずなのに、涙が止まらない。
アカツキは一人立っていた。
背景とは不釣り合いな光景だった。
炎に包まれた町。
破壊された家。
そこらじゅうに転がっている死体。
アカツキの服はボロボロだが、傷一つ無く、それは奇妙な違和感を醸し出していた。
「みんな、おめでとう。そして、さようなら。」
これは何度目の別れだろうか。
もう何年生きただろうか。
いつ死ねるのだろうか。
疑問の答えが見つからず、首にかかっている懐中時計を取り出した。
この懐中時計は開かない。
秒針の音も聞こえない。
動くわけではないのだ。
俺と同じで、時間に拒絶されているのだから。
わかっているはずなのに、動くことを願ってしまう自分がいる。
疲れで意識が遠退く中で、俺は瞬く星に手を伸ばした。