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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

ホルマリンに愛を漬けて

作者: 聖殿 悪夢
掲載日:2025/11/03

ホルマリンに愛を漬けて

まぁ、意外な事にその男は受け入れた。

真逆女も到底受け入れられるなぞ点で思ってもいなく、(では、何故それを実行したのだ?)

男の愛の一途さというやら、はたまた"鈍感さ"に最初は唖然としていたのだが、だんだんそれも慣れていって今では至って普通、"四股に障害を抱えた男"を支える良き妻として平穏に両者とも暮らしていた。


家は一軒家、そこそこ広く、金持ちかと思われるが実はそうでもなく、実際は田舎にある不便な屋敷であった。

その為、都市に住む人と収入は大して変わりやしない。


「ガタン!ガタン!ガタン!


…ギリギリ、ガタン!


ガタン!ジュ…、ギリギリ、ガタン!!」


不規則な、且つ単調なメロディが屋敷を包む。


「ガタン!ギリギリ…ジュ、ガタン!」


この家では聞き慣れたメロディである。

演奏者は右腕を失くした男。

そして観客は1人、その片輪者を支える良き妻だ。


「あぁ、ダメ!

そこはノコギリでやっても中々切れないよ。

返ってノコギリの消耗が早くなる。

チェンソーでやらなくちゃ」

片輪夫の奏でるメロディが気に食わなかったのか、女は途中で紅茶を片手に、様子を見つつもうっとりと今にも瞳を閉じかけたその時に、ガバと椅子から立ち上がった。


「それを利き手をなくした奴に言う?

第1、硬いとこはノコギリでもままならないのに、チェンソーなんか使ったらそれこそこの肉片が飛んでいってしまって、更に僕は怪我を負う。

なら、君がやってみたらどう。

イチャモンを付けるくらいなら今日は僕は終わりだ、君が後をやるんだね」

「そんな!

今眠りかけていたのに?!」

只今、調理中である!

それは何の肉であろうか?

鹿肉…否、イノシシ?

こんな山奥の田舎なものだから、恐らく狩猟してきた野生物の解体だろう。

この場合、利き手が不自由な男が銃を持って山の中をウロウロするとは考えられない。

恐らく、その"メロディに浸っていた"妻が狩猟担当、そして解体を片輪夫が担当。

「早く、早く!

とにかく、早く小さく切り分けてミキサー状にしなきゃ、肉は固くなるのよ?

貸して、もういい!」

女は見かねたのか、私が代わる!と言っていざチェンソーを台所の引き出し(なんとも、その台所は高級感があるものの、中から出たのは少し血の着いたチェンソーである、全く不釣り合いだ)

を取り出すが、フト思い出したように先程座っていた椅子に接するようにある台形型のテーブルに走るなり、先程飲みかけていた紅茶を男に差し出した。

「これ!飲んでおいて」


良き妻はチェンソーを荒っぽく使い、関節部分はいとも簡単に切断された。

仕事はまだ終わっていない。

そして、他の足の部分、更には首の部分、肋骨に至るまで難なく切断していく。

動きは片輪夫よりもかなり素早く済ませるが、反して良き妻の顔は汗だくでぜえぜえ息を切らしていた。

あまり体力がないのだ。

なら、よくもそんな身で深い森の中で狩猟出来るのだな、と言いたくなるが…。

「終わった、後は頭蓋骨だけだ。

さっき切断した部分から、肉を取りだして…

ほら、ミキサーに入れて」

「はいはい。」

見ていた夫も、紅茶を飲み終えて妻の指示に従う。

妻はいざ切断した頭部を抱えるなり、外の倉庫に行ってハンマーで勝ちわろうとしたところ、良くない夫に腕を掴まれて阻止される。

「やるから、いいから、やるから。

体力ないのに、無茶するバカ」

とだけ言って、ミキサーで完全に肉をミミズ肉状にするまでの間、効率よく倉庫へと歩いていった。


良くない夫の口調は何となくカタコトで違和感、乱暴な口調に聴こえ我々は不信感を覚えるが、少し前、今から4年ほど前に日本へ来て体力のない妻と結婚した、ロシア人である。

だから、カタコトなのも少し口調が乱暴、ストレートなのも仕方がない。


『…ガタン!ゴトン!ギリギリ!

…ガタン!!』

先程と同じ単調なメロディだが、少し長いメロディである。

一々、音程が長ったらしく、最後の音符は口調が上がり気味で大きく響く。

妻は魘されて、目を覚ました。

まだ外国人の夫は帰っていないらしく、寝室にはただ1人だけだ。

その音色はうっとりする程美しく、眠気を促すように子守唄のようなのに、たまにとてつもない不安を煽って来るのだ。

「…まさか、そんな」

抱き抱えていた、まるでぬいぐるみを扱うかのような乙女は、手にしていた長いホルマリン漬けを見て安堵するような、否、それでも不安は消えないような感覚で長い筒を見つめる。

ベッドライトを付け、体を起こした。


「ねぇ、ちょっと…」

良き乙女は寝室を出るなり、夫のいるであろう倉庫へと寝巻きで向かう。

「起きたの?」

と、童話の王子は振り向き答える。

丁度ミンチ肉やら、粉々になった骨やらを薔薇の木下に埋めていた様子。

「起きた、起きた。

それ、ダメなの?肉、どうしようもなかった?」

決まって解体した肉は部屋にある金魚槽の金魚達に上げる決まりだ。

「上げたよ、あげて、余ったから埋めたんだ」

「良かった、餌やってくれてて」

パンパン、と左手を叩く肉馬の王子は、手袋を不自由そうに取るなり倉庫を後にし、良きやまとなでしこと寝室に向かう。


「起きたの?また、見た?」

「見た、見た。

一緒に寝よう、風呂はまた明日でいいから」

肉馬の片輪夫は目を丸くし、

「いや、入るよ、一緒に入ろう」

やまとなでしこは肉馬の王子を介抱するようにお風呂へ入った後に、寝室で軽い口付けをした。

ホルマリンは、そのままほっぽり出してベッドの片隅に放置されていた。


軽い口付けをした後、今度は深い口付けをする。

「あの夜も、こんな感じだった。

思い出させようとしている訳ではないけれど、傷は残るよ、一生」

手を妻の寝巻きの下に伸ばし、胸を中心に優しく撫でる。

これは彼なりの優しい言葉なのか?

「そう、一生一緒らしい」

「?」

外国人には日本語の言葉遊び、それこそ浪漫というものは理解できないらしい。

悪い男だ。

相も変わらず鈍感で、妻は嫌になっていた。

愛も変わらず、嫌な態度も鈍感夫には伝わらないまま、こんな調子で性愛(聖愛…?)も終えて1日が終わる。


変わることのない、平穏な暮らしである。

大体、ここに同棲してから3年くらいになった。

片輪の王子はこの生活が長く続く事を毎日神に向かって祈るくらい、この生活と彼女を気に入っていたのだ。





「おはよう、ダーリン。

ちょと、てぃ、どぅまいぇしぃ?

(что ты думаешь?)」

「うん、?

なんて?」

朝、私の肉屋さんはいつも私より先におきていて、新聞を長いこと凝視しながら日本語を勉強しているらしい。

あの日以来一切を捨ててここへ駆け込んで逃げるように2人して来たものだから、日本語の教科書などない。

3日に1回くらいの頻度で配達される新聞紙を頼りに、補いきれていない日本語や漢字を勉強している。

健気だ。

そんな彼には私の調べても一向に身に着きもしないうろ覚えのロシア語は通じないよう。

否、心さえ分からないのだ。


「コンニチハ、ヨロシクオネガイシマス。

ロシアカラ、来ました」

「…よろしくです」

4年前、私の当時住んでいたアパートの隣に越してきた男。

何やら、気晴らしによく異国の地へ足を運ぶのが趣味らしく、日本でとりあえず1ヶ月間、暮らすことになったという。

ただ旅行が趣味だけの男で、留学生でも何でもないらしい。

然し、父親が純ロシア人であるにも関わらず日本に永らく住んでいるらしく、父がいる為に越してきた、とも言えよう。

初めて見た時は絵に書いたような私好みの男であったのだが、どうにも変に陽気な、私とは正反対な性格が気に入らなかった。

気さくでフットワークも軽いせいか、交友関係も異国の地というのに、軽々と、次々に作っていく。勿論、私にもだ。

数ヶ月してからは、私との関係も友達になっていた。

ある日、それは私の家で酒を一緒に飲んでいた時。

私はアルコールに滅法弱いから、素が出たのかどうでも良くなれ、という精神からなのか…

フト冗談めいた調子でこう言った。

「好きな人って居ますか?」

いくら交友関係が深まったといえど、ただの外国人には変わりはない、彼の気さくな態度で関係は良くなっていたようで、肝心の日本語はあまり上手くならない。

彼には日本語勉強よりも、各地を旅行したり、とりあえず色んな人に関わるのが優先順位としては上だったのだ。

なので、難しい言葉など通じるはずも無く、ストレートに分かりやすく、聞いてみた。

まぁ、冗談だと交わされるだろう…

「好きな人、居なかったら付き合いませんか?

私、貴方が好きですよ」

顔が好きなだけ、芸術作品を見るような感覚。

でなければこんな軽々しい男とは交友関係も断っていただろう。

然し、彼はその冗談も本気に思えたのか、又は自国では冗談はあまり言わない文化なのか、簡単に交友関係から恋愛関係へと発展した。


さて肝心なのは、何故こんな田舎の屋敷で2人、夜な夜な呼び出した彼の友人を殺害し解体してミキサー状の餌にしているのか。

それ以前に、何故彼は右腕を失った片輪者へと化したのか。。


「ねぇ、ちょっといい?」

いつも通り、夜の戯れが始まる前、私は彼の熱烈な、そして優しくいたわる様な両の手を指を絡めながら握り返し、今から始まる毎夜の事に一旦ストップをかけた。

「?何?」

半年も経ったからか言葉も少しは上手くなった。

なおも優しく私を見つめる蒼色の瞳に、私はこれから事がどう動くのか、好奇心が止まらなく頭には活発にドパミンが湧き出ていた。

いいから、いいから、と言って、近くにあったタオルを彼の目の上に軽く載せる。

「今日はイヤ?」

そうではない、今日でなくちゃ私の好奇心は満たされないだろう。

なんとまぁ、顔が好みだからと付き合い始め、付き合ってからは私の中にある…否、みんな誰しも1度でも考えた事があるであろう"ある好奇心"がかられ、それの実験台になるのだ。

優しい声色は、私に拾われなかった。

途中で私は殴られ、殺されるかもしれない。

立場が逆転するだろう、それも体格も倍くらいある彼になら尚更簡単だろう。

然し。

試してみたかった、私がその行動をした時、貴方も普通の人と同じように怒り狂うのか。。

ゆっくり、気付かれないように寝具の下に隠してあったチェンソーを取り出す。

「まだだよ、まだ目を開けてはダメです…」

彼は素直に従う、哀れだ。

逮捕されたら私はこの誰もが1度は抱いたことがあるであろう"好奇心"によってどうなったかを小説としてでも書いて世に出版してしまおう。

意を決して(いや、好奇心に歯止めが効かなくなって…?)チェンソーを思い切りベッドに横たわり目を瞑る彼の右腕目掛けてスイッチを押した。



悲鳴が絶え間なく、耳が痛くなるほどこびり付く。

私は最初こそ顔を赤くして、いけない事をしている背徳感があったものだが、それも段々、想像するよりも遥かに見るのも痛々しい目の前の光景に顔を青くし、冷や汗が止まらず固唾も飲めない。

ただ目的を最後まで果たすという誰からも指示されてない謎の使命感から、やり切ったのだ。

肉は思ったより容易く切れたが、その先、中芯にある骨に苦笑し、終える頃には疲労感しか残らなかった。

両の腕にかけた全力が尽き、身体からも吸い取られるように力が抜け、そのまま涙を流しながら苦しみ続ける彼の上に倒れ込んだ。

そして、どうなったの?

気を失ったのだろう、そこから記憶はない。

恐らく、普段温厚で常に紳士的な彼でもこれには耐え兼ねたのだ。

私を殴って殺したのか。


いや、違った。

朝、浅い眠りから目覚めるように、倦怠感と共にゆっくり身体を起こすと、今のこの山奥にある屋敷に2人して眠っていた。

彼は昨日のあの時のように私の下になって眠っている。

傷口は塞がれていない、否、私が顔に載せたタオルで巻かれていた。


「…なんで?」

開口一番、彼が発したのは怒りでも悲しみでもなく疑問であった。

「なんで?どうして?怒った?嫌いだから?」

私が目を覚ましたのを確認するなり捲し立てるように質問責めに合う。

彼は怒っていない、ただ悲しそうに涙を流し私を見つめるだけだった。

気付いたら、チェンソーで切断した彼の右腕は大事に抱きしめていた。

180cmもある彼の腕は大きく、何故か安心感をもたらした。

何故、抱いていた?

何故、今私は何処かも知れやしない山奥の屋敷にいる?

何故、彼は怒り狂って私を責めない?

何故、彼は私を殴らない?

何故、彼はされるがままだった?


何故、私を殺さない?



「…それは、、。

…好き、だから、?」

「…好きだから?」

まるで、不思議でならないよう。

私だって不思議だ。

好きだから彼氏の腕を切断する奴がいるのだろうか。

それでも、彼は私の咄嗟に思いついた言葉を信じた。


あぁ、この人はとてつもないバカなのね。


結論としては、こう出た。

断末魔のような自分の叫びに恐れを抱いたのか、彼は私が倒れるなり私が警察にお世話にならないように急いでこの山奥へと駆け込んだらしい。

何でも彼の父親が今いる前に住んでいた屋敷らしい。


それから、彼はまるきり変わった。

"好きだから"

たったそれだけの言葉を鵜呑みにして、私の許せないような行為を許してしまった。

急いで針で切断面を縫ってあげた。

せめてもの、私の彼への償いだ。

それ以上、好奇心もなにも失せてしまった。

どうでも良くなった、ただ私に純粋な彼に申し訳ないばかりで。


変わったのは彼であった。

いくら私の思いつきの好奇心の行動がいくら突飛であったからと言って、その後の彼の行動を上回る事は無いであろう。

何を思ったか。

彼は私が大切そうに抱きしめていた、私に切断された自身の右腕だったものをホルマリン漬けにして私に渡してきた。


そして、暫くした日。

電話で友人を此処へ呼び出してきた。

そして…。


「なに、やってるの…?」

「もうすぐ。

準備は出来た、から。

そこにあるチェンソーを取って」

あのチェンソーは、私や彼の右腕と共に忘れること無く此処に持ってきていたらしい。

それを私に持たせて、かつての彼の友人を顔めがけて慣れない左腕で思い切り殴りつけた。

「…、それ、どうするの?」

彼は、彼の友人である私と同じ日本人の男を殴り、抵抗が無くなったのを確認するなり私に微笑む。

「いいよ、切っていいよ」

と…。


というのが、こうなった原因というか、過程というか。

それから彼は今までありったけの友人を態々招いては私にあの日のように切断を促すようになった。

どうやら、私の事を切断癖か、サディスティックの『特殊性癖持ち』なのだと思い込んでいるらしい。

然し好奇心などとうに通り越して、私は彼への申し訳なさと、彼が態々連れ込んで来てくれた実験台に対しての無関心の感情しかないのだ。

切断も、最近では彼に任せるようになった。

何よりも警察に見つからないように隠すのが私の仕事だ。


ロシア人って、dv癖があるらしい。

それもあるロシア人女性から噂として聞いた。

だから結婚には向いていないとの事。

ただ、私にはその"ロシア人の男の性質"のメリットの部分しか見えなかった。

否、彼が見せなかったから…?

熱烈で献身的なのは、ネットに書いてあった通りに彼は示した。


『ガタン!!ギリギリ…ガタン!!ガタン!!!』


彼が数を増やすだけ私の夜な夜な聴こえる幻聴の数は右肩上がり。

彼が切断して、ミキサー状にして埋めるのを見届ける回数が増えるだけ、私はグロに対する耐性もついていった。

今はとりあえず死体を片付ける事が最優先で且つそれしか私の頭にはない。


「ごめん、もう1度言ってほしい」

私の下手くそな覚える気のないロシア語は通じなかったらしい。

何を考えているのだろう?

私にはそれしかない。

私の好奇心に耐え、なおも私を愛する彼の心境が分からずにいた。

今や平気で人を殺して私の機嫌を取る彼だが、いつからそんな非人道的な行為を進んでする事に平気になったのだろう?


いつか言っていた、この屋敷に来る前、彼の利き手を切断する前、付き合う前に…。

「Этого нельзя терпеть, Бог должен наказать этого человека.…」

猟奇殺人鬼をテーマにした映画を、私はワクワクしながら見ている時、彼は真剣な面持ちで自国の言葉を無意識に発していた。

おそらく、「許せない」などのニュアンスなんだろう。

今や猟奇殺人鬼は私たちであるというのに。


夜になれば、彼は必ず私の傍で寝てくれる。

昨日は特別、時間が掛かったから例外として、彼は私が魘されるのを知っているからそばに居てくれるらしい。

片輪夫は少しの不自由を抱えながらも私を優しく抱く。

「今度は、私を殺しても良くってよ…」

彼の手が私の背中に回されて、肌が密着している、彼の体温が暖かい、それが直接=優しさと捉えられる…

そんな時に、私はまた突拍子も無く悪い冗談を言ってしまった。

「ナニ、しない、しない」

陽気に笑った、無邪気なのは変わりないが、冗談は相も変わらず通じないようで、真剣に拒否の意を示した。

「もう、辞めて良くってよ…」

「やめない、やめない」

また、朗らかに優しく笑う。

「もう殺して良くてよ…」

「誰を?」

「私を」

暫く、彼にしては珍しく。

綺麗な青色の瞳が私の言った事を真剣に、『冗談か本気か』を考えるように見つめていた。



翌日、可憐な悪き妻はある出版社に向けてひとつの短編小説を送った。

内容は、好奇心によって腕を切り落とした男が壊れたという話で、フィクションにしては、要所要所に細かく描写が施されてまるで"ノンフィクション"かのように描かれていた。


そして最後の頁に、こう書かれていた。

「殺される好奇心は抱いたことがありますか?

私は、最近になって湧いてきました。

好奇心によって人を痛めつけてやりたい、人を殺してみたいとは誰でも1度は思ったことがあるでしょう。

では、反対に殺されたいというのは?

好奇心で、殺されてみたい。

私は彼の人生を好奇心で壊したのですが、更に壊して元に戻らない、それこそ失った右腕よりも致命傷な、『一生一緒』に残る傷を作りたくなりました。

私たちを壊したのは、純粋な好奇心です。

誰にでも沸き起こるいけない好奇心が、人を壊します。

ただ、私たちとみなさんの決定的な差というと、「実行」という点です。

誰しも好奇心止まりで、実行はしないでしょう、それを私たちは、身をもって示してみます。

さて、読者の方、ここでひとつ賭けてみませんか?

私を純粋に愛して、壊された被害者でもあり、今では皆の加害者となった猟奇殺人鬼の優しい彼が、私をこの後、言われた通りに殺すかどうか?

何にも、私としては殺されるような気がします。

さて、どうなるやら…。

また、私を見つけた時は、結末を書いてください。

ガタン!!…ギリギリ、ジュ、ガタン!」



最後の1行には、奇妙な擬音が書かれていた。


山奥の屋敷は確かにあった。

そしてとある行方不明の外国人が今も見つからないという事も…。




【Моя жизнь была убита девушкой, которую я любил。

(私の心は愛する彼女によって壊されました)


Но что бы она ни делала, я не мог ей отказать, потому что любил ее.

(然し僕は彼女を愛しているからこそ、彼女を拒否することが出来ません)


Странное убийство самое непонятное, но если бы она этого хотела, я бы убил себя и довел до конца, даже если бы не хотел.

(猟奇的殺人は僕には最も理解出来ません。

が、彼女が望むのならば、例え私は嫌でも心を殺してそれを実行するでしょう)


Однажды она попросила меня убить ее, она не хотела меня убивать, просто как будто не смотрела на меня.

(ある日、彼女は僕に「私を殺して欲しい」と言ってきました。

が、私は愛する彼女を殺したくはありません。

ただ、彼女は1度も私を見ようとはしてくれませんでした)


Однако теперь я буду думать о том, как лучше всего сделать ее счастливой.

(でも、僕は彼女がどうしたら幸せになれるのか、最善策を考えるつもりでいます)




…Но я знаю, что каждый раз, когда я совершал убийство, она смотрела на меня сверкающими глазами, как ребенок.

(…然し、彼女は僕が殺人を犯す度に子供のようにキラキラと目を輝かせて僕を見てくれていた。

それだけは確かです。)

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