お昼ご飯を食べましょう 前半
「彰くんはお弁当ですか?」
「うん、基本的にはそうだね。でもたまに作るのが面倒だと思うと購買とか行ったりするね」
ふむふむ。ちらりと彰くんのお弁当をのぞいてみたら卵焼きにウィンナー、ハンバーグ、ポテトサラダなどとかなりおいしそうである。やばい、よだれが垂れてきたぞ。それに比べて私のお弁当に入っているのは、ほぼほぼ冷凍食品である。唯一手作りであるのは、不格子ながらドドンと真ん中に鎮座している卵焼きである。なぜか毎日のように作っているのに全然進歩が見えない子である。ちなみに私は卵焼きは甘い派である。
あれ?ちょっとまってほしい。もしかして私の料理技術は彰くんに負けているのか?まずいぞ、前に彰くんが友達と喋っている時に「おいしいものを作ってくれる人が好み」と言っていたんだった。おっとこれは非常にまずいのではないか?何とか彰くんにお弁当を見られないようにしないと、でもどうやって見られないようにだべるのだろうか?うーん?
「佐伯さん大丈夫?僕とお昼ご飯食べるの迷惑だったかな……?」
しょぼくれた顔でそんなことを聞かれてしまった。私があれこれ色々と考えていたせいでそんなことを言わせてしまった。こんなことを考えている場合ではない。早く返事をせねば。
「そんなことはないです!!一緒にお昼を食べられて本当に嬉しいです。何なら幸せすぎてそろそろ心臓が止まりそうです」
「そっかぁ、よかった。ちょっと困っていたみたいだったから、迷惑なのかなと思っていたんだ」
「実は前に彰くんがおいしいものを作ってくれる人が好みと言っていたのを聞いたので、私のお弁当を見られるわけにはいかないなと考えていただけです」
あっ、つい言ってしまったぞ。どうするんだ正直に言ってしまっても困るだけだ。うーんうーん、どーしよー。とアホみないなことしか考られなかった。
「ああ、それね適当に言っただけだからあまり深く考えないで。じゃあ、ご飯食べよっか」
適当に言ったものこそ本心が現れると言うのを聞いたことがあるのだけで、彰くんが気にしなくていいと言ったのだから気にしないでおこう。
さて、お腹も空いたことだし、いただきます。もぐもぐ、今日もお弁当はおいしいのう。ふふ、隣には大好きな彰くんがいるからいつもよりも1.5倍くらいにお弁当がおいしい。とても幸せなお昼の時間である。
「佐伯さんはおいしそうに食べるね」
「はい、実際にとてもおいしいですから」
「ふーん、じゃあちょっと一口僕にもうえないかな?」
「えっ?!」