考えるのは放棄しましょう
キーンコーンカーンコーン
キーンコーンカーンコーン
授業が始まったはいいものの、今の私にはーミリ足りとも内容が入ってこない。いろいろ考えている内に頭がオーバーヒートしてしまった。そして、考えるのを放棄した私は眠った。いや、授業を真面目に受けろよ!と心の中の善人くんがつっこんでくるけど、無理、疲れた、私は寝るぞ。おやすみなさい。
キーンコーンカーンコーン
キーンコーンカーンコーン
授業が終わったチャイムが聞こえた。大きなあくびをして眠っていたことによって固まってしまった体をほぐすように背伸びをしていると、
「さっちゃん、お昼ご飯一緒に食〜べよ」
「えっ!?もうお昼の時間?」
「そうだよ。さっちゃんはお寝坊さんだなぁ。さて、朝起きた出来事をを洗いざらい話してもらおうか」
私の目の前にいる、キューティクルでスーパーかわいく仁王立ちしている大事な親友こと神永菜月ちゃんがそう言ったのだが、
「菜月ちゃん、なんでそのこと知ってるの?」
「いやいや、何言ってるの?あんなたくさんの人がいるところでいつも告白しているくせに、もう全校生徒に広まってるよ。『ついに一途な愛の天使様の想いが届いた』ってね」
「いや、私別に天使様じゃないし……」
「そんなことはどうだっていいんだよ。とにかくこの親友様に話してごらんなさい。ほらほら」
「菜月ちゃん、これは夢なんだよ。だから私の都合通りに話がトントンに進んでいっているだけなんだよ」
そうだよ、これは現実じゃないんだよ。きっと夢なんだよ、うんそう思おう。とか考えていたら、
「佐伯さんいる?」
彰くんの素晴らしいお声がした。なぜだ?彰くんがいらっしゃる。あまりに驚いて固まっていると、
「佐伯さんをちょっと借りてくね」
「うん、いいよ」
私の預かり知らぬところで話が進んでいき、私は彰くんに連れて行かれた……わーい、今私は彰くんと手を繋いでるよ、やったね。もう何があっても考えないでおこう。うん、そうしよう。うんうんと1人で頷いていると、「ご飯ここで食べよう」と言われたので、「はい‼︎」と元気よく返事をした。
こうして私は思考を完全に放棄したのだ。