第1話
ある日、神の子が誕生した
超越した力を持つ神の子は世界が注目し、彼の存在は世界中から戦争を無くす程の影響を与えた
世界は平和となり、彼の子供も生まれ、その子孫達はその力を僅かに引き継いでいった
数百年後には数多の超越した人間が誕生しており、その者達は「第二人類」と呼ばれた
そして、神の子が誕生してから数千年後
人類の半数が「第二人類」を占めた頃
「旧人類」との戦争が勃発した
強靭な肉体と超能力を使う「第二人類」
それに対して「旧人類」は科学力で対抗した
~とある荒野~
ドドドドドドドッ!!
宙を舞い、指先から弾丸を放つ第二人類
それを見上げる巨漢の男
鉄骨を掴み、宙の第二人類に向けて放り投げる
ブンッ!!
「がはッ!!」
鉄骨は第二人類に命中し、落下していく
「クソがッ!!」
起き上がった第二人類が指先から弾丸を放つ
しかし、巨漢の男の身体には傷一つつかない
弾丸は全て弾かれていく
鋼鉄の身体を持つサイボーグ…シュタイナー
ガシッ!
シュタイナーが第二人類の首を掴む
「ぐぐぐッ……」
そして、シュタイナーが手首にあるピンを外した
ドゴオオオオンッ!!
シュタイナーの手のひらが爆破する
ドサッ……
もろに受けた第二人類は力なく倒れた
シュンシュンシュン!
回転刃を持ち高速移動をする別の第二人類
それに立ちはだかる男
男は腰に差した鞘の前で何かを掴み、引き抜くような動作をする
まるで見えない刀を握るかのように
そして、その構えから腕を振るう
ズバァッ!!
「あがッ!!」
周辺を高速移動していた第二人類が突如斬られ、倒れる
無の刀を振るう侍…無双
「はーはっは!!ひと暴れといこうか!!」
四本腕を持つ男…ゴルドキング
ゴルドキングの腕に付けているブレスレットが光りだす
「うおおおおおおお!!」
ゴルドキングの身体が赤くなり、発火する
ゴオオオオッ!!
口から火を吹き、辺りの第二人類を燃やし尽くす
「…………」
それをボーッと眺める少女
鏡の鎧をまとう者…スカイハート
スカイハートの後ろには数枚の鏡が浮いている
その鏡には第二人類が映しだされていた
スカイハートがその鏡に触れる
バキバキバキバキッ!!
その瞬間、鏡にヒビが入る
バリーンッ!!
そして、粉々に砕けちったその時
「が……あ……」
ドサ……
割れた鏡に映っていた第二人類が倒れた
スカイハートの鏡は映し出した者と連動する
「くッ……!旧人類にここまで押されるなんて……!」
シュッ……
腕に包帯を巻いた男が第二人類の懐に潜り込む
ドドドオオオッ!!
包帯を巻いた男の手のひらからエネルギー砲が放出される
この男こそ、この場にいる旧人類4名をまとめるリーダー…シシガミ
ゴオオオオ……
砂埃が舞い、視界が塞がれる
至近距離でのエネルギー砲をもろに受けた第二人類は確実に仕留めた
そう思われたが……
「シシガミ一派……今最も危険視されている旧人類……」
「実力は確か……か」
第二人類の身体は岩石のように硬化していた
「三銃士の一人……グロック」
「俺たち旧人類もとうとうここまで手が届くようになった」
「手が届く?何を勘違いしているんだ?」
グロックが岩石の身体でシシガミに突撃する
「貴様達は所詮、武器を手にした猿だ!」
「超能力を持つ我々、神とは比べ物にもならん!」
グロックがシシガミに拳のラッシュを浴びせる
「今後の世界は第二人類が築き上げる!」
「古き人類はとっとと滅ぶがいい!」
ガシッ!!
グロックの拳を受け止めるシシガミ
「神の頭ってのは……猿と大して変わらないもんだな」
「なんだと……!?」
「俺たち猿もてめぇら第二人類の全滅がお望みだよ」
「こいつ!」
バゴオッ!!
シシガミの拳がグロックの顔に命中する
「がぁッ!!」
グロックの強固な岩石が砕ける
「馬鹿な……ただのパンチだろ……」
「ああ……これは何の能力でもねえ」
「てめぇら第二人類への恨みのパンチだ」
バゴバゴバゴオッ!!
シシガミの連続パンチがグロックの岩石を破壊していく
「がッ!!……あがッ!!」
ドサッ
グロックの岩石は完全に剥がれ、無防備になる
「あばよ」
シシガミが手のひらを向ける
「く……そが……」
「その能力……お前のその腕!!」
「…………」
シシガミの包帯で隠された腕……それは鋼鉄の義手だった
「そいつはな……俺の弟なんだよ」
「…………」
「俺の弟の能力はエネルギーを操る力……」
「お前みたいに手からエネルギーを放出することが出来た……」
「だがな……弟は体が弱かった」
「能力には恵まれていても戦闘能力は皆無だったんだ」
「だから弟は戦場に立つことなく、小さな村で平穏な生活を送っていた……」
「しかし、ある日突然、姿を消したんだ」
「弟だけじゃない……村そのものが消えていた」
「そして……その後日、弟と同じ能力を使うお前が現れた!!」
「その腕……人器だろ……?」
「お前達、旧人類が行っている第二人類を改造して作り上げる兵器……」
「お前達は!!弱い弟を捕まえて!!殺した!!」
「そして、こともあろうに兵器に改造したんだ!!」
「自分達のやっていることが分かっているのか!?」
「…………」
「話は以上か?」
「な……に……?」
「戦場にお喋りはいらねえよ」
「そもそも、殺しはお前達が先に始めたことだろ?」
「けどまあ、気持ちは分かるぜ」
「てめぇらにとっちゃ俺達を殺すことなんざ、蟻を潰すようなことだろ」
「その蟻にしてやられたんだ、むかっ腹も立つだろうぜ」
「だが同情はしねえ」
「俺達は正義でやってんじゃねえ」
「てめぇら以上の悪魔になるつもりさ」
「この猿野郎が」
ドドドオオオッ!!
シシガミのエネルギー砲がグロックに放たれる
前のエネルギー砲は岩石のガードがあったからこそ耐えられたもの
今回はそれが無い
ジュウウウウ……
グロックの姿は跡形もなく消え去った