華在覚智
如是我聞。
智慧の華は黄昏に蕾膨れ、丑三に満開し、暁に散る。
闇夜に華を求める者だけがそれに見える機会を得る。
鼻が利く者を連れて行け。
然らば微かな匂いを辿れよう。
夜目が利く者を連れて行け。
然らば闇に溶ける姿を見逃すまい。
手先が器用な者を連れて行け。
然らば華は摘まれたことすら分かるまい。
話のうまい者を連れて行け。
然らば華は散るを忘れて聞き入るだろう。
そしてお前は仲間を纏めるものとなれ。
然らばお前自身が華の導となろう。
独りで挑むな。
犀の角に種は宿らぬ。
世を捨てるな。
衆生を離れた仙界に華は咲かぬ。
助力を厭うな。
文殊の知恵無くして実は結ばれぬ。
闇夜に出でて、いざ目指せ、般若波羅蜜の華。
如是我聞。