表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

33/65

その8

「どうした?」


「ロン、誰と会ってたの?」


 よくわからないことを言ってきた。


「べつに誰とも会ってないけど」


「嘘。何か気配が違う。私以外の女と話をしたでしょ」


 サターニアが俺から離れた。宿で会った女性の皆様のことだろう。さすがは元魔王の娘だな。そのへんは敏感である。感心する俺をサターニアがにらみつけてきた。


「ひょっとして、あのサリーってクズ女神? やっぱりロンって浮気してたのね」


 何か勘違いしたらしいサターニアが両手の人差し指を立てた。何をするのかと思ってたら、が自分のこめかみに人差し指をあてる。


「えーと。――あ、お父様? ちょっと聞きたいことがあってね。庭にいるレッサーデーモンなんだけど、いま、管理って大丈夫? 何匹かこっちにきて、王都の人間に何かする、なんてことはないわよね。あったら大変だと思うけど、不慮の事故ってのは起こるものだから」


 言いながら、じろっとこっちを見た。まずい! 念話で親父さんと意思疎通してるのだ! しかも、私はやれなんて命令してないわって会話パターンである!! 俺はあわててサターニアに駆け寄って両手を頭から離した。


「待て待て待て。誤解してる。俺はサリー姉ちゃんと会ってなんかない。ただ、宿で女性店員の皆様に声をかけられて」


 これでサターニアの目が余計に吊り上がった。


「宿で女性店員と仲良くしたの!? あなた、あのクズ女神以外にも、そんな相手と――」


 怒りの表情で、あらためてサターニアがこめかみに人差し指をあてた。


「もしもしお父様? レッサーデーモンの話はよくないけど、グレーターデーモンはもっとよくないわよね? でも、ちょっと目を話してる隙に逃げだす、なんてことはあってもおかしくはないと思うし。そうね、五百匹くらい」


「だからそうじゃないんだあああ!!」


 とにかくサターニアをなだめて、誤解だと納得してもらうのに一時間ほどかかった。


 その夜は心労で嫌というほどよく眠れた。やはり半球催眠より熟睡のほうが俺もリフレッシュできる。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ