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その8

「さてと」


 魔力障壁を解きながら、俺は立っていた娘に目をやった。


「ありがとうございます!!」


 娘が俺に駆け寄って礼を言ってきた。白い肌に赤毛で青い瞳。年齢はいまの俺より少し下に見える。さらに言うなら、相当な美少女だな。サリー姉ちゃんにも負けてない。


「驚きました。お強いんですね」


 笑顔で言いながら美少女が俺に抱き着いてきた。柔らかい感触がむにゅーんと伝わってくる。あれ、困ったな。


「あのう」


 なるべく乱暴にならないように意識しながら、俺は美少女の両肩に手をかけて引き離した。そのまま美少女の身体を上から下まで軽く眺める。とりあえず、怪我をしている様子はない。


 ――ははーん、そういうことか。考えてる俺の前で、美少女が自分の胸に手をあてる。


「あの、私のことはドミニク・ギリアムと呼んでください」


「そうか。会えて嬉しいよナイストゥーミートゥーよい一日を(ハブアナイスデイ)


 俺は背をむけた。そのまま歩きかけた俺に、ドミニクがつづいて声をかけてきた。


「あ、あの、お名前は」


「え、俺か? ロン・カタースタートって言うんだ」


 仕方がないなから俺は振り返って名乗ることにした。ドミニクが自分から自己紹介をしたのは俺の名前を知りたかったからか。


「ロンさん、やさしいんですね。私を助けてくれたし。それにハンサムだし」


 ドミニクが俺の横までやってきて、笑顔をむけてきた。


「あの、お礼をさせてほしいんですけど」


 言いながらドミニクが俺の腕に自分の腕をからませてきた。またずいぶんと積極的だな。


「いや、俺は」


「これからどこへ行くんですか? よかったらご一緒させてください。私もひとりじゃ怖いから」


「ちょっと待ってくれ。ご一緒も何も」


 断ろうとしてから、俺は考えなおした。ここで断っても返って面倒なことになるだけだろう。


「俺は王都に行こうと思ってたんだ。まずは近くの街に行かなくちゃならないんだけど」


「あ、偶然ですね。私の父も、この近くの街にいるんです」


「そうか。じゃ、そこまでは一緒に行ってもかまわないよ」


 目的地が同じなら、ついてくるなとも言えない。俺はドミニクと腕を組んだまま馬車道を歩きだした。

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