♪45.ウサギにする、もうひとつの理由
リンゴは切らずに、皮も剥かずに。
そのままかじります。
リンゴをウサギさんのかたちに切ること、ありますよね。
赤い皮を顔と耳のかたちに、残すやつ。
くし切りの、かたほうの先端から。弧のまんなかのあたりで、ふたまたにわかれて、ふたつのとんがった耳をつくる。そんな、皮の残しかたをします。
耳は、ウサギの背中から尻尾にあたる、皮を剥かれた白い果肉から浮くように、包丁を入れられて。やや厚めに、果肉がついた皮である、その耳の部分は。まるで、ほんもののウサギのようにぴんと立つのです。
鮮やかな赤で描かれた頭部と。耳のしたから、もうかたほうの先端までの、皮を剥かれた白い背中。
なんとも美しいコントラストではありませんか。
ウサギが赤いのは、顔と耳じゃなくて、ほんとは目だけだとしても。まあ、それはいいや。だって、可愛いもん。
でも、あの切りかた。可愛いだけじゃないメリットがあるのです。
そもそも、顔と耳の部分の皮を、剥かずに残すということは。そこの皮まで、食べろってことですよね?
そして、ぴんと立つように。耳の部分は果肉が、やや厚くはりついています。
そして、そんな耳との段差をつくるために。白い背中の部分も、通常より厚く皮が剥かれているはずです。
ということは!
剥かれた、背中から尻尾の部分の皮には、果肉が厚くついていて。しかも、そのリンゴは。切りかたからわかるように、皮まで食べることを念頭においたリンゴなのです。
じゃあ、そんな。ウサギから取り除いた、果肉が厚くついた、食べられる皮。食べなきゃもったいないですよね?
じゃあ、ひょいっ、ぱくっ。
しゃり、しゃり。
あら、美味しい♡
おわかりですね?
つまみ食いです。
だって、食べなきゃもったいないもの。
あ、果肉がわりと残ってて美味しいし、ひらぺったいから食べやすい。
このように。
ウサギ切りは、そのかたちが可愛いだけではなくて。
切ったひとが、合法的(?)につまみ食いができる、切りかたなのです。
みなさんも、リンゴをウサギ切りして、とりのぞいた皮をつまみ食いしませんか?
……え、めんどい?
だったら、ふつうに切って、ひときれもらっちゃう???
タコさんウィンナーも可愛い。





