♪28.私は名探偵
「私は歌川 詩季、名探偵さ」
私は、はいあかむらさき色の脳細胞を持った名探偵です。
きょうも、事件があって。もちろん、見事に解決してまいりました。
……いや家の鍵が、どっか行ってしまって(汗)
財布につけてたんですが、リングが緩くなっちゃって。
どこかに落としたのかな(涙)
と、ふつうならパニクるにところを、この名探偵は冷静に行動を起こします。
まず、状況の整理!
1. 仕事に行くために家を出るとき、鍵をかけました。鍵のついたリングをはめた財布は、扉のところですぐにカバンに入れましたし。帰宅するまで、カバンから出しませんでした。
2. ちなみに、カバンはトートバッグ。ジッパーなどはついていません。車で職場に行って、勤務が終わり、帰ってきてから家の扉をあけようとしたら鍵がない。財布のリングから、はずれてしまったよう。
3. 帰り道。本屋さんには寄りましたが。スマホで決済をしたため、財布を出していません。
ということは。
まず、いちばんありそうなのは。鍵はリングからはずれて、カバンの中に落ちてることですよね。
鍵のかかっていない、裏口から家に入り。カバンをひっくり返して、中に鍵がないか探します。
でもね。
こうゆうときの、私の勘ってあたるんです。
「あ、ここにはないな」って!
やっぱり、カバンの中には、鍵は落ちていませんでした。
ふむ、こいつは、うまくないぞ。
けど、だけど!
私は、名探偵として、そうかんたんにパニクるわけにはいきません。
扉の鍵をかけた直後、財布ごとカバンに入れたのは、ほぼまちがいないのです。カバンに入れるときに落ちたとしたら、音がしますし。
カバンの中で、リングからはずれてしまったとしても。いったん、中にしまってしまえば、職場や駐車場までの道に、落としたことは考えにくい。
ですが、私のカバンは口のあいたトートバッグです。
扉のまえ、駐車場までの道、職場、本屋さんで落としていないとすれば?
ふふ、もうおわかりですね?
私は、駐車場にむかいます。
いちおう、とちゅうに鍵が落ちていないか、目を配りつつも——ありませんでしたが。
そして、駐車場。
車にたどり着いた私は、助手席のドアをあけます。
ひとりで乗るときは、トートバッグを助手席にのせる私は——って、うるさい! どうせ、いっしょに乗ってくれるひとなんか、いませんよ!
友達はともかく、名探偵なら、助手くらい乗っけろよ。何のための「助手席」だよ?
そんなツッコミは、いまはうけつけません。
いま、だいじなことは。
鍵がここにあるかなのです。
私は、助手席にのっけたトートバッグを、運転中に倒してしまうことがあります。
なかみをぶちまけてしまうことも。
きょうは、どうだったかは覚えていませんが。
はいあかむらさき色の脳細胞の推理によれば、ここにある可能性は高いはず——あった!!!
あった! あったぞ!!
我、発見セリ!!
さすが、はいあかむらさき色の脳細胞!!!
このテンションで、ノンフィクションの推理ものに描いてやろうかと思いましたが、そこは自粛(笑)
まあ、正直なところ。ほっとしましたよ。
でもね、私ってば、ものをみつけるの得意で。
それだけ、ものをよくなくすのですが(苦笑)
ものをみつける、コツというものが、いくつかあって。
それを守れば、さがしものは、けっこうみつかるものなのです。
ん? 興味あります?
あなたも、ものをよくなくすのですか?
いいでしょう。教えてさしあげますが。
でも、それはまた次回。
歌川 詩季でした。
「詩季。
歌川 詩季」
あ、これだと、スパイか(笑)





