♪19.お酒が飲めないはなし
お酒飲めません。
お酒もタバコもやりません。
私は未成年を卒業してからけっこう経つので、法律的にはどっちもオッケーなんですけど。
このご時世。タバコを吸ってみようと思いませんが。お酒のほうに、ちょっと憧れはあります。
いや、10代ではあるまいし。夏場にビールをぐいっとか、寝るまえにチューハイでかるく晩酌とか。日本酒や焼酎を、かぁーっと、でもなく。
私が憧れるのはウィスキーやワインです。カクテルもいいな。ストーリーがあって、ダンディズムに通じるとことかあるじゃないですか。……ビールや日本酒にも、ストーリーあるんでしょうけど(笑)
でも私。
お酒の、あのつーんとした味が苦手なんですよね。
唯一飲める種類が、ミルクで割るシロップっぽいお酒。
あれ飲むなら、いちごオレやバナナオレでいいじゃんって、つっこまれることありますが。
うん、そのとおりです。いちごオレやバナナオレで満足してるから、お酒のほうは飲まないんですよ。
だけど、ウイスキーの小瓶やワインのボトル。カクテルにまつわるいろいろな由来。お酒への憧れは、もってしまうんですよね。
バーには、一回だけ行ったことがあります。
でも、客として来店したわけではなく。
ある日、ふだん使わない駅で電車を降り。
用事を済ませて、駅へ戻るとき。
雨が降ってきました。
私は傘をもっていたのですが。視界に、傘をもっていないのか、困り顔で雨宿りをしているお姉さんが。
お姉さんは意を決して、雨のなか歩き出そうかといったふうでした。
ここは駅へのおおきな一本道。おそらく、行くさきはおなじ方向でしょう。
それならと、私は声をかけてみました。
「駅まで行かれるなら、傘、いっしょにはいってきませんか?」
初対面です。
見ず知らずのひとと、ふたりで傘のなかだなんて。
あ、綺麗なひとだからちょっかいかけたかったとかじゃないですよ。
私が善人なわけでもありません。
だけど、雨のなか。お姉さんが濡れて歩いてるのを、自分は傘のなかから見るのは、なかなか居心地悪いものがありますってば。
お姉さんは、傘にはいってくれて。
私たちは駅のほうへ、ふたりで傘のなか、歩いて行きました。
そしたら、お姉さん。
バーのママさんやってたらしく、これから出勤するところで。
店をあけるから、お礼に一杯飲んでいって、と言ってくれたんですよ。
当時、私は20歳なってたかなぁ? 真昼間でしたし、お酒ではなく、オレンジジュースでしたけど。ありがたく、ごちそうになりました。
なんか、マンガみたいで、素敵なはなしだったので、まだおぼえています。
あ、そこの駅。
なんか雨に縁があるらしく。
「よかったら、傘はいってく?」は、もう一回ありましたね。
そんときは、高校生が大学生くらいの女のコでしたけど。
……だから、目のまえで濡れながら歩いてるの、傘のなかから見てるの、気まずいんですってば(汗)
そのコも、傘にはいってくれました。
あ、もちろんへんなちょっかいなんかかけずに、駅でじゃあねしましたよ(笑)
でも、やっぱり。初対面——というか、見ず知らずのあいて、ですよね。
ふたりで、傘のなかってのは、ハードル高いなぁ(汗)
お姉さんも、女のコも、よく傘にはいってくれたものです。
あ、そうそう。お酒の話だ。
お酒、飲んでみたいって。あるとき、ひとに話したらこう言われたんですよ。
「それは、ひとりで飲もうとするからいけないんだよ。
いっしょに飲めるひとと、楽しく飲めばいいじゃん。
そしたら、自然に飲めるようになるから」
なるほど、非常に参考になる意見です。
けど!
友達いない私には、お酒を飲めるようになることじたいより、いっしょに飲めるひとをつくるほうが難しい気がするのですが(涙)
やっぱり、私はお酒にむいてないんでしょうね。
ひとくちめは、おいしかったりするんですが。
ふたくちめから、もうだめ。