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挨拶って基本ですね、と改めて思いました

作者: 高野 涼

同じ職場の人と、朝、顔を合わせたら挨拶しますよね。大人なんですから。

でも、それが通じない人がいました。私の職場に。


私は事務職のパートをしています。キャリアだけは長いですがずっと同じ場所でパートのまま働き続けています。待遇は良いですし、職場環境も問題ありません。定年までここに居続けたいですね。


同じ課の正社員さん達は概ね3~5年ほどで移動していくので、私が一番の古株になってしまいました。


で、挨拶です。


朝は皆さんほぼ同時に出社します。まず入り口で守衛さん達と「おはようございます」を言い、それからタイムレコーダーのところで他の社員さんやパートさんともお互い朝の挨拶をし、廊下ですれ違う人、最後に同じ課の人たちと挨拶。働いている人は多いので、自分の机に行きつくまでに何回も「おはようございます」を繰り返します。中にはあまり知らない人もいるのですが、その時間に社内にいるということは関係者というわけですから当然挨拶しますよね。だから転勤してきたばかりのちょっと偉い方(一般的にはおじさんと言える年、でもベテランパートの私よりは年下)にもちゃんと挨拶したのですが…


その方は挨拶した私の顔を見て「誰だ、こいつ」という感じをありありと顔に浮かべて無視しましたね。まあ、こちらもいい加減、面の皮あつくなったおばさんですから、「ほーお、そう来るか」と思いまして。


あちらは出世コースにのっている役職付きの方で、私は時給いくらのしがないパートです。パートの顔なぞ覚える気もないのでしょうと思っていましたが、隣の部屋なのでほぼ毎朝会います。それで仕方なく「おはようございます」は繰り返していましたが、あちらからの返事はありませんでした。


こちらとしても正直おざなりで、相手の顔も見てはいませんでした。最初の印象があまり良くはありませんでしたから。相手にどう思われようと仕事で直接話すような立場ではありませんし、パートですから出世とかさらに関係ないですしね。


1か月くらい経ったある日、たまたま「おはようございます」と言った時にその方と目が合いました。そうしたらなんと、小さな声で「おはよう」と返ってきましたよ。これはおばさんの無欲の勝利と言えるのでしょうか。


そこで今度は意識して帰りの挨拶もしてみるようになりました。帰り際に隣の部屋をちょっとのぞいて、その方がいれば「お先に失礼します」と声をかけました。なぜかびっくりしたようで、最初はやはり返事はなかったですが、しばらくすると「ああ、どうも」と聞えるようになりました。


その方が転勤して来てから1年近くになりました。今ではお互い笑顔で朝には「おはようございます」、帰宅時にこちらが「お先に失礼します」と言えばにっこり笑って「お疲れ様でした」と返していただいています。


おそらくですが、単なる人見知りだったようです。仕事の話なら問題なくできても、プライベートでは無理ということらしい。


忙しい方なので昼間にお会いすることは滅多にないのですが、次の目標は気軽に立ち話ですかね。定年になる前にクリアしたいものです。


あれから半年とちょっと経ちました。

今ではすっかり笑顔でお話できるまでになっております。

そしてなんと!今日忙しかった仕事の山を越えたところで、課員全員にケーキの差し入れをいただきました!

最初の頃の仏頂面は何だったのでしょうね?聞いてみたいけれど、まだそこまでは遠慮があって聞けない…


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― 新着の感想 ―
ほっこりするお話でした(*^^*) ひとつのことだけでは人ってわからないですよね。 私も先方の上司が他のひとと会話していてなかなか声がかけられず、隙を見つけて「おはようございます」と言ったのも声が…
 うう……! ちょっと耳が痛いお話でした。  私、挨拶、ほぼ出来ないのです。  挨拶とか、朝礼とか、ホウレンソウとか、意義がいまいち分からなくて、駄目なのです。  おじさん、やわらかくなっていっ…
挨拶って本当に大事ですよね!なのに通学中の学生に挨拶したら、こちらが女性であろうと不審者扱いな風潮は悲しいです。 このエッセイに癒されました。ありがとうございました!
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