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行き場のない怒りは、旦那を殺めたことで少しばかり消えた。あとは娘の幸福を願うだけ。

ガッシャーン!!!


車はガードレールを突き破り、

谷底へと真っ逆さまに落ちて行った。


脇見運転が招いた末路だった。



後部座席に座っていた女は

ハンドルを握る旦那の死をしかと見届けてから



こう呟いた。


「たった今、私の行き先は決まりました。

あの世です」



「どうか、神様。

あの世ではこのクソ男と絶対に顔を合わせることのないよう宜しくお願い申し上げます」


「そして。やがては娘が退院して、

いい人と巡り合い、

幸せに暮らしますように、重ねてお願い申し上げます」


女の幽霊は。


車から降り、

フワフワと宙を彷徨い歩き、やがて

消えた。


評価してもらえると、

嬉しいです。




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