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浮気相手が実子なんてふざけんなよ。
俺はしがないタクシー運転手。今45歳。
雪のしんしんと降る真冬日に、
長野県の塩尻峠の街道沿いで綺麗な黒髪ロングヘアを携えた赤い毛糸の帽子を目深に被った色白の女が乗り込んできた。旦那に浮気され、
しかも浮気相手は我が娘だったと言う。
見たところまだ若い。
歳の頃、34、5といったところか。
「何方まで?」
「行き先はまだ決まっていません」
「は?」
変な女だなと思った。
じゃあ、手を挙げてタクシーを捕まえるなよなと心の中で悪態を吐いた。
「どうします?目的地が明確でないなら
乗り込んだ意味が無いんじゃないですか?」
「いいえ、そんなことはありません」
「というと?」