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オレにホレないモノはなし!~完全無欠のスコッパー~  作者: GIMI
第1章 アタシにホレないモノはなし!
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004.普通、最初に出会う魔物はスライムとかでしょうが

 最近の寝苦しさは少々異常だと思う。

 地球温暖化の影響だろうか。

 熱帯夜なんて言葉もあるが、そんな言葉もなまっちょろく感じるくらいにとにかく暑い。

 都会はもっと暑いなんて聞くが、よくそんな場所で生活ができるものだと思う。

 だから、基本的に、オレは自室で寝る時は必ず空調をつけて寝る。

 しかし、寝相の悪さでスイッチを切ってしまったのか、じっとしているだけでも汗が吹き出してくるような暑さが今のオレを襲っている。

 このまま無理やりにでも寝てしまおうか、いや、ちょっとだけでも起きて、クーラーをつけ直した方が良いだろうか。よくある葛藤。

 結局あまりの暑さに耐えきれず、オレは目を開けた。


「……………………………ここ、どこ?」


 目に飛び込んできたのは、まさに灼熱の世界だった。

 硬そうな岩がゴロゴロしてるし、黒土の地面のすき間にはうっすらと赤いラインが引かれている。

 遠くにはモクモクと立ち上る煙とそれを発生させている原因であろう紅蓮に燃えるマグマがドロドロと緩く流動している。


「…………はっ、そうだ。オレ転生したんだよな」


 つい先ほどまでの女神……と生理的に呼びたくない存在とのやりとりを思い出す。

 結局何一つ、聞きたいことは聞けなかったわけだが、本当に、そのまま異世界に放り出されてしまったらしい。

 いや、あるよ。そういうタイプの異世界転移モノも。

 でも、そういうのってあれじゃん。

 いつの間にか、異世界に転移していて「いったいオレはなぜこの世界に……」みたいな、ちょっとこうミステリアスな感じのやつじゃん。

 完全に豚野郎(めがみ)の怠慢で何の説明もないのは絶対違うじゃん。

 ああ、興奮したら、頭がふらっと……。いや、違う、興奮したからじゃない。この暑さのせいだ。


「暑すぎる……」


 口に出しても変わらないのに、ついつい口に出してしまう。

 もはや、夏の夜は寝苦しいなんてレベルじゃない。

 だって、マグマだぜ。

 多少距離はあるとはいえ、周囲でグツグツ煮えたぎっている中だ。

 銭湯のサウナまではいかないが、それに近い暑さはある。

 どうしても耐えられない、というほどではないが、できればもう少し涼しい場所に移動したいところだ。


「ん?」


 ふと、右手にひんやりとしたものをつかんでいるのに気づく。

 それはスコップだった。

 タイムカプセルを掘るのに拝借した園芸用スコップだ。

 どうやら元の世界から持って来てしまったらしい。

 ステンレス製だろうか。今はその心持ちひんやりとした感触だけが気持ちいい。

 ほっぺたに刃の部分を当てて、ささやかな涼をとる。

 さて、ほんの少しだけ頭が冷えたところで、とりあえずここから脱出だ。

 改めて周囲を確認する。

 まず、傍にあるのが、2メートルほどはあるだろう、えらくつるつるとした大岩が5つ。

 その近くにはなにやら陶器のようなものがバラバラに散乱している。

 少し周囲を見れば、土の地面が崖のように切り立っており、その下はどうなってるのか、角度の問題であまりわからない。

 どうにも自然に作られた岩場という感じではないが、今はそんなことどうでもいい。

 まずは崖を降りてみようと、進み始めたその時だった。


 ブワァアアアア!!!


「なんだ……!?」


 突然、周囲に熱風が吹き荒れる。


「えっ……」


 熱風が吹いてくる方向を見上げて、オレは驚愕した。

 ドラゴンだ。RPGでは基本強モンスターとして描かれるあのドラゴンだ。

 しかも素のドラゴンじゃなくて、絶対、なんか名前付きのやつ。

 さしずめ炎属性のドラゴンといったところだろうか。

 全身にマグマのように真っ赤なラインの奔るそのドラゴンは、翼を大きく羽ばたかせながら、悠々とこちらに降下してきた。

 近づくほどにそのでかさがわかる。身長だけなら、学校の校舎よりも高いかもしれない。

 鋭い爪の生えたあの巨大な脚で踏まれようものなら、人間なんてひとたまりもないだろう。

 なんでいきなりドラゴン!?

 普通異世界転生してすぐに戦うモンスターはスライムとかゴブリンとかもっと雑魚でしょうが!!

 逃げなきゃ、と思うが、あまりの威圧感に、ピクリとも身体を動かすことができない。


「グゥウウウウウ」


 地鳴りのように響く唸り声に、息苦しいほどの暑さにも拘わらず、背筋がスッと冷たくなる。

 もうダメだ……おしまいだぁ……。

 真っ赤なドラゴンは、オレをひと呑みしようと、その鋭い牙を湛えた口を大きく開き──。




 ──オレの全身をべろりと舐めた。

 そのまま、何度も、オレの全身を舐める。

 はい、上から舐めて~下から舐めて~また、上から~。

 気づくと、オレはドラゴンの唾液で、全身べっとべとになっていた。

 最初はテイスティングか何かかと思ったが、一向にオレを呑み込もうとする気配はない。

 どうやらオレに対して敵意はないようだ。


「良か……った……」


 あれ、安心したら、急に力が……。

 オレは膝を折ると、そのまま地面に倒れ伏していた。

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