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オレにホレないモノはなし!~完全無欠のスコッパー~  作者: GIMI
第8章 新たなる戦いの幕開け
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129.3人目の加入希望者

「つまり、君達2人は、オレ達のパーティに入りたいと?」

「はい、そうなんですわ!」

「ああ、そうなんだ!!」


 受付のお姉さんが通してくれた応接室。

 オレに相対するように左右の椅子に座った2人の美少女は、またもや、まったくハモリながら答えた。

 2人のうち、オリエンタルな踊り子風の衣裳を身に纏っている方が、ルチル。

 そして、ややボーイッシュな雰囲気の戦士風の少女が、スコレというらしい。

 どちらも、元々はドーンのある中央大陸とは別の大陸で活動していた冒険者だそうで、鋼帝竜を撃破したオレ達の噂を耳にして、わざわざやってきたらしい。


「ふーむ……」


 確かに、オレ達のパーティには、まだ、パーティメンバーの空きがある。

 ただ、あと1名分だけだ。豚野郎(めがみ)が作ったシステムでは、冒険者のパーティは6名が限度。

 一緒に行動するだけなら、それ以上のメンバーになっても可能だろうが、あぶれた1名は経験値を共有できなくなってしまう。

 つまるところ、もし、本当に最後のメンバーの加入を承諾するとするならば、どちらか1名を選ばなければいけないということになるわけだが……。


「どうしたもんかなぁ……」

「あのぉ……」

「んっ?」


 思案するオレの肩を、とんとんと受付のお姉さんが叩いた。


「なんですか?」

「実はですね……。お二人の前にすでに先約がいらっしゃいまして」

「先約?」


 お姉さんが、応接室の奥の扉を開くと、そこからまた、一人女の子が現れた。

 これまた、可愛い女の子だ。

 黒髪黒目のボブヘアー。着ている服も、どことなく襟の辺りが、セーラー服っぽくて、まるで日本の女子高生のようだ。

 転生者……じゃないよな……?


「え、えっと……」


 彼女はゆっくりと進み出たものの、その場でモジモジとしている。


「あのですね。この方も少し前にディグさんのパーティに入りたいと、ギルドにやってきたんですよ。ねっ」

「あ、はい……そう……です……」 


 お姉さんにフォローを入れてもらって、女の子は、ようやく顔を真っ赤にしながら、頷いた。

 赤面症なのだろうか。

 偉く緊張した面持ちの少女は、オレの視線に気づくと、ますます頬を染めた……謎だ。

 とにかく、この少女も加わったとなれば、候補者は3人になったということ。益々選ぶのが困難になってしまった。


「えーと、とりあえず、それぞれ自己アピールをしてもらってもいいかな」


 面接官になった気分でそう言うと、真っ先にルチルが立ち上がった。


「では、私から行きますわ!」


 元気に挙手をするルチル。

 ロリなのに、巨乳の彼女は、その所作だけで、ぷるんと大きな胸が揺れている。

 うん、ポイント高いよ。


「改めて、名前から……ルチルと申します。職業(クラス)占い師(フォーチュンテラー)EX職業(エクストラクラス)ですわ」

占い師(フォーチュンテラー)? へぇ……」


 あまり冒険者っぽくない響きの職業名だな。


「特技は、属性魔法とちょっとした占いですわ。ここでお見せしましょうか?」

「えっ、できるの?」

「もちろんですわ」


 ルチルは胸の谷間から、タロットカードのような物を取り出した。

 そうして、それを次々と並べていく。


「でましたわ!」

「えっ、もう!?」


 早い。こうオレの世界の占い師とか、勿体付けたようにじっくりと占いの過程とかを見せるものだけど、カードを並べてから2、3秒しか経っていない。


「何て出たんだ?」

「そうですね……ディグ様は何か加護のようなものをその身に宿していらっしゃいますわね」

「えっ!? わかるの!?」

「もちろんですわ」


 ルチルが大きな胸を張って答える。


「ふむ、凄い力を感じますわ……。さすが、鋼帝竜を倒したという御方ですわね」

「いやぁ、それほどでもぉ」


 美少女に褒められて、まんざらでもない。


「けれど、お気を付け下さいまし。火傷の相が出ていらっしゃいますわ。近々、火や熱に関することで、何か災難に遭われるかもしれません」


 え、何それ怖い。

 なんて、思っていたら、部屋の扉が開いて、アルマが入ったきた。

 手には大きなお盆を抱えており、その上には、ティーセットが載せられている。

 オレ達が話をしている間に、ギルドの給仕場を借りて、お茶を用意してくれていたのだ。

 さすがに、元小間使いだけあって、よく気が付く娘だ。


「ありがとう、アルマ」

「いえ! これも私のお仕事ですから!」


 別にもう小間使いではないので、お茶汲みが仕事と言うわけでもなのだが、まあ、アルマとしては、好きでやってくれていることのようだし、こういう場面はお言葉に甘えるとしよう。

 アルマは、まずは、ギルドを訪れた3人の候補者の前に、ティーカップを置き、お茶を注いだ。

 続いて、オレのティーカップにお茶を注ごうとしたその時だった。


「わわっ!?」


 どこから入ってきたのか、わりと大きめのカナブンが、アルマの顔に張り付いた。

 びっくりしたアルマは、おもわずティーポットを放り投げる。

 美しい稜線を描いたティーポットは、ちょうどオレの頭の真上で逆さまになると、一気にその中身をぶちまけた。


「うぁああああっっっつぅううう!!!!?」


 アルマによって丁寧に温められたティーポットに入れられたお茶の温度はまだまだほぼほぼ100度近い。

 顔面に熱湯をかけられた形になったオレは、思わず身もだえした。


「ああー!! ディグ様!! 申し訳ありません!!」

「ディ、ディグ!? アルマちゃん、おしぼりと何か冷やすものを!!」

「わ、わかりました!!」

「こ、これは……」

「火傷の相……というわけか」


 そんな様子を眺めて、シトリンとコルリが顔を見合わせていた。




「はぁ……ごめん。どたばたして」


 フローラとアルマが用意してくれた氷嚢で頭頂部を冷やしながら、オレはようやくルチルへと向き直った。


「いえいえ。それよりも、私の占いの腕は、わかっていただけました?」

「ああ」


 痛いほどね。


「このように、私はこれから起こり得る不幸を予知することができますわ。場合によっては、それを回避するための手段を提示することもできるでしょう」

「不幸を回避か」


 今回のような軽度のやけど程度ならともかくとして、冒険者として活動していく上では、命に関わるような災難にいつ見舞われるとも限らない。

 それが、事前にわかるというのであれば、確かに、かなり有用な能力だと言えるだろう。


「それに、私は、闇魔法の遣い手でもありますわ。戦闘でも、皆さんに貢献できるかと」

「闇魔法……」


 以前、神域の聖塔でホーリーゴーレムと戦った時、仲間達から人間で闇魔法の遣い手はほとんどいないという話を聞かされていた。

 その貴重な使い手が、まさか自分の方から、パーティに入りたいと訪ねてくるとは……。

 また、あの光の巨人のような、他の攻撃方法では対処のしづらい魔物と遭遇する可能性は今後もないとは言い切れないし、ルチルが闇魔法使いであるというのは、正直かなりポイントが高い。


「ほらほら、ディグ様、もう私に決めてしまってはいかがかしら!」


 そう言いながら、ルチルは立ち上がると、オレの右半身に抱き着いてきた。

 うほっ、まるで巨大な肉まんかと思われるようなあれが押し付けられて、思わず、有無を言わさず「ルチル、IN」って言ってしまいそうになる。


「待てくれ!! ディグ!! 戦力と言う意味でなら、僕にも自信がある!!」


 と、慌てて宣ったのは、スコレだ。


「僕の名はスコレ! EX職業(エクストラクラス)守護神(ガーディアン)持ちだ!! 鉄壁の防御力を誇る僕なら、必ずみんなを守ってあげることができる!!」


 そう言って、中央に宝玉の埋まった円形の盾を持ち上げて見せるスコレ。

 ほほう……守護神(ガーディアン)と来たか。

 うちの前衛は超攻撃的な面々……ジアルマとコルリしかいない。

 強いて言えば、オレが盾役なわけだが、正直防御面が脆弱という部分があるのは否めないだろう。

 純然たるタンクとして、一人確保できるのは、パーティーの生存率を上げる上でも、かなり重要になってくる。


「でも、守護神というわりには、えらく軽装だな」


 おへそ出てるから、ぺろぺろしたくなってしまう。

 と、スコレは、どこからかいきなり短刀を取り出した。

 そして、おもむろに、自分の露出した腹部に、それを突き立てる。


「うぇっ!!?」


 起こるであろう惨状に、顔をしかめたオレだったが……彼女のすべすべの腹部から一滴の血も出ることはなく、それどころか突き付けた短刀の方が半ばから折れてしまっていた。


「僕の肌はこう見えて、鋼鉄よりも硬い。半端な鎧を身につけるよりは、高い機動力で仲間の補助を優先しているんだ」

「な、なるほど……」


 いきなりのパフォーマンスで驚いてしまったが、それだけ自分の防御力に自信があるということか。

 あのすべすべのお肌と形の良いおへそを見ていると、とてもそんな風には見えないが、実際に見てしまったのだから、信じるほかない。


「僕の肌にはどんな魔物も傷一つつけることはできない。もちろん君達にも傷一つつけさせない。こんな有用な盾役、他にはいないよ!」


 彼女は自信満々に胸を張る。

 うん、ルチルに比べれば、いささかボリューム面ではささやかなおっぱいではあるが、そういうのも悪くはない。


「さあ、僕を選べ! ディグ!」

「いいえ! 私を選んでくださいませ! ディグさん!!」


 ルチルとスコレが、両サイドからオレの腕を引っ張り出した。

 うーむ、正直、どちらもこれ以上ないほどに優秀な人材だ。

 どちらを選んだら良いものか……。


「あのぉ、皆さん……」


 そんな中、おそるおそると言った雰囲気で、挙手をしたのは、今回も中立的な立場でこの場に入ってくれている受付のお姉さんだった。


「もうおひとり、パーティ加入希望の方がいらっしゃるのもお忘れなく、ほら」


 お姉さんに背中を押され、それまで2人のアピールを黙って見守っていた黒髪の少女が、前に進み出た。

 だが、進み出たはいいが、もじもじとして、なかなか話し始められない。

 それどころか、少しオレと目線が合うと、パッと逸らしてしまう。

 やっぱりこの娘、相当の緊張しぃらしい。

 なんだか、この娘……。


「似てる……」

「あっ……えっ……?」


 ぼそりとつぶやいたオレの言葉に、緊張しぃの女の子は、少しだけ小首をかしげた。

もうあと一人で100ポイント達成です!

ブクマ、評価いただけるとたいへん励みになります。

宜しくお願いします。

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