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第2話 国宝破壊の事情
使えない雑用係みたいな扱いを受けながらひいひい言ってるあたしは、異世界にきたときの事をおもいだす。
こっちに来たばかりのあたしは、右も左も分からなかったもんだからとんでもない事をやらかしてしまっていたのだ。
それは、国宝の破壊だ。
異世界転移した場所が、その世界の重要な場所だった。
王族が行きかう王城だったのだ。
それで、「何だよここはっ! 一体どこなんだよっ!」と、何が何だか分からない内にウロウロしてしまったあたしは、そこらへんにあった国宝を「うぎゃあ!」(パリ―ン!)と大破壊。
それがただ高価な物であれば良かったけど(いや、良くないけど)、その国宝は悪魔と戦っているこの異世界を救うために必要なものだったらしい。
修理費に、(日本円換算で)何百万、何億円かかるし、素材もレアな物がっかり。
だから騒ぎを聞きつけた奴等にあたしは、「何という事だ、貴重な国宝がっ!」と悲鳴をあげられ、「怪しい奴!」と叫ばれて牢屋にほうりこまれてしまったわけだ。




