第1話 あたしは荷物持ち
果てが見えない長い街道。
あたしはその道を、くそ重たい荷物を背負いながら歩いていた。
「くっ、クラン。ちょっとは荷物減らせよ」
肩に食い込む巨大な荷物の紐を意識しながら、クランという名のドエス王子、もとい雇い主に不満をぶつける。
「う~ん、やだ」
「こんのっ、ドエス王子めっ!」
殴ろうとしたけど、さっとかわされてしまった。
ふと影がさして、ふと上空を見上げると、そこには巨大なドラゴン。
その背にまたがった鎧を着た人間、竜騎士がこちらに片手を振ってみせた。
遠くに行って小さくなるドラゴンが、火を噴いて焼き鳥になった鳥型の魔物が地上へ落ちていく。
竜騎士が昼飯をゲットしたようだ。
「未だにしんじられねぇ。ここが異世界だって? ドラゴンさえいなけりゃ、まだ外国だって言われた方がしっくりくるぜ」
「じゃあ異世界だ。君の世界にはドラゴンはいないんだろう? なら、ここは異世界で決まりじゃないか」
普通の女子高生だったあたしは、何の因果か空間にできたひずみに引きずり込まれて異世界に行ってしまった。
その世界では、魔法が使えて、ドラゴンというトカゲ、ではなく有翼の巨大生物も存在している。
正直最初は目を疑ったし、今も疑ってるし、むしろ夢なんじゃないかと常に思ってるけど、でもこれは現実だった。




