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2018年2月 お題「バレンタイン」その3
「教授。この古代人類の文献に見られる「ヴァレンティヌスの日」とはどのような儀式だったのですか?」
「うむ。「チャクリト」なるものを男性に送る儀式だったとある。ラテン語で「神の食べ物」を意味するカカオという木の実から作られる薬のようだ。この儀式で多数の若い男が死んだらしいから一種の毒薬だったのだろう」
「な、なぜそんな儀式を?」
「ハート、つまり心臓を手に入れる手段として認められていたのだ」
「臓器を!? 神の名の下になんて野蛮な」
「儀式の中止を求める声は多かったらしい」
「当然ですよ」
「だが儀式はやがて形を変え、女性に送る者や自分で処方する者も現れたそうだ」
「古代の人類の風習は理解が遠く及びませんね……」