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【サカイメの書架】2019年10月 お題「カウントダウン」
「もし明日死ぬとしたらどうします?」
軽い気持ちで質問した僕に彼女は真剣に睨むような顔でこう答えた。
「カウントダウンを始めるわ」
「……は?」
「24時間かける60分かける60秒つまり86400秒。一秒も欠かさずカウントして、君にそれを聞かせるわ」
「なんでそんな。もっと意味のあることしましょうよ」
「意味はあるわ。軽率に死期を知らせてしまった君に同じ苦しみを味わわせるためよ」
僕は二の句が告げず、ただすみませんと謝った。すると彼女は笑った。
「15億7680万。15億7679万9999。15億7679万9998……」
「やめてください。50年後までのカウントダウンを始めないで下さい」
ケタケタと彼女は笑った。




