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【サカイメの書架】2019年2月 お題「桜吹雪」

 利発そうな少年が毎朝私に会いに来る。

 ランドセルをカタカタ鳴らして走ってきて、お姉さん、とまだ声変わり前の声がくすぐったい。そんな風に呼ぶのは彼だけ。嬉しかった。

 でも終わりはある日訪れた。


「お姉さん、クローンなんですか」


 図書館で私の種族について調べたのだろう。

 ついに知られてしまった。

 彼の中の、たった一人だった私がいなくなる。私はたくさんいる私の一人になる。


 彼は私が分からなくなる。


 でも、それでもいい。

 みんな私だから。

 彼がどこに行っても、私じゃない私が彼の成長を見守っている。


 私の名前は、ソメイヨシノ。


 一年に一度この季節には少しだけ、日本全国にいる私のクローン達が一斉に花を散らして、彼の気を引くのだ。

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